第伯肆拾壱譚 いつまでも ページ22
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「ありがとう」
「ありふれた言葉が一番嬉しいってやっと気づけた」
「かけがえのない思い出をありがとう」
「これからはいつまでも笑顔でね」
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カナヲ「Aっ……!」
『カ……ナヲ』
朦朧とする頭を叱咤していると、近くで声が聞こえた。
ぼんやりする視界を頑張って定める。
そこには日の光を浴びたカナヲがいた。
『ごめん……ね』
カナヲ「嫌だ、死なないでよ……もう誰も失いたくないの」
『さっきも言ったでしょう? 手遅れだって』
カナヲ「でも、その時は……!」
『……予定が早まっただけ』
カナヲの瞳からはぼろぼろと涙が溢れていた。
その涙が、わたしの頬を濡らす。
その涙さえ温かいと思うわたしは、もう手遅れだ。
『カナヲ、今までありがとう』
カナヲ「……っうん」
『アオイちゃんとなほ、すみ、きよちゃんたち……。
皆で幸せに暮らしてね。願ってるから』
もっと、皆とお話ししたかったなぁ……。
しのぶ姉さんや、カナエ姉さんとも共に。
カナヲ「わたし、Aのことお姉さんみたいだって思ってたの」
『うん』
カナヲ「わたしこそ、いつもありがとう……」
カナヲ/A『「大好きだよ……」』
痛みが徐々に引いていく。
冷たさなんてもう気にならなくなってきた。
お館様に助けていただいた。
しのぶ姉さんの家にお世話になった。
炭治郎、善逸、伊之助と知り合えた。
蜜璃さんに桜餅をおごってもらった。
煉獄さんに沢山のことを教えてもらった。
宇随さんに地味を連呼された。
伊黒さんにネチネチアタックされた。
不死川さんがいい人だと知れた。
冨岡さんと会話が成立できた。
悲鳴嶋さんに心配していただいた。
玄弥に柚音の事を教えてもらった。
カナヲに家族の温かさを教えてもらった。
無一郎、『恋』と『愛』を経験させてくれてありがとう。
振り返れば沢山の想い出が蘇る。
数えきれない、星のように輝く想い出。
幸せをありがとう。
いつまでもわたしたちは、貴方たちの幸せを願っているよ。
カナヲにゆっくり微笑んでから、目を閉じた。
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「お姉ちゃん」
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朱音 - コレは涙ナシには読めません!!ホント作者さんは神です。 (1月4日 18時) (レス) @page47 id: f38b69f778 (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - お疲れ様です。 マジで泣ける。だいたい夢小説ってご都合の良いもの多いけど、この小説は神。無一郎&夢主来世で幸せになってるのうれしすぎ、、!文才ありすぎでしょうらやましい 長文失礼しました これからも頑張ってください! (2023年3月21日 11時) (レス) @page47 id: 1934e7457c (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - Chiffonさん» あわわ、ありがとうございます〜!!なんかめちゃくちゃ嬉しいこと言われて、テンションがおかしくなった作者です() 今世で亡くなることは初めから決まっていたので、そこはサラサラと書けましたね。徹夜で最後まで読んでいただきありがとうございました〜!! (2021年10月10日 21時) (レス) @page47 id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
Chiffon - あの…徹夜で読んだ中学生です…。作者様に一言。泣きました…。今世で亡くなっても来世でまた再開するところとか…。あとですね、文才がですね…。ください← ………すみません。深夜テンションなので意味不明ですね。とりあえず…素敵な作品をありがとうございます (2021年10月8日 4時) (レス) @page47 id: 030621147b (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 無有さん» コメントありがとうございます〜!!スランプ気味ではありますが、次の作品も頑張りますね。 (2021年10月7日 17時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楪日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/
作成日時:2021年5月9日 14時