第伯参拾参譚 銃声 ページ13
・
『う゛っ……!!』
黒死牟「着物を裂かれた程度では…赤子でも死なぬ…」
何度も攻撃をくらった。
骨折、打撲、体中が痛い。悲鳴を上げている。
こらえきれなくなって、血を吐いた。
手が真っ赤に染まる。
不死川「雪城ォ!!」
『ガハッ……大丈夫です! 構わないでっ……ゲホッ』
皆、わたしに構わないで。
大丈夫だから。
大丈夫。大丈夫。大丈夫。
『わたしは大丈夫。大丈夫。大丈夫――――っ』
ねえ、誰か肯定して。
大丈夫だって、言って。
本当はしんどいし、辛いし、もう駄目だって思ってる。
でも、諦めたら駄目なんだ。
しのぶ姉さんも、自分がやることをやり遂げた。
わたしも――――っ。
『雪の呼吸、壱ノ型 吹雪、弐ノ型 雪崩っ……!』
自分を、貫くって決めたから!
『玖ノ型 雪の華・乱っ……拾ノ型 雪の華・舞っ』
時透「Aっ!」
『うわっ』
ぐっ、と引っ張られた。
髪がぱらり、と数本落ちる音がして、目を見開く。
自分のすぐ横を、月の斬撃が通り過ぎて行った。
当たっていたら、間違いなく死んでいた。
『あ、ありがとう』
時透「ううん、無事でよかっ……!? A、右目……」
『……ごめん』
時透「謝らないで。……それで見えなかったんだね」
右目が妙に生暖かい。使い物にならなくなった。
きっと前線に出たら、真っ先に狙われる。
『感謝します。時透さんは、後ろから援護……』
時透「A」
・
「―――――」
・
今。
今、なんで?
すでに時透さんはいない。
代わりに、横には玄弥くんが立っていた。
玄弥「……A、ごめんな」
まさか。
玄弥くんは銃を構えた。
玄弥くんの銃口に鈍く光る姿は、長い黒髪の少年。
『……待って、待ってよ……』
嫌だよ時透さん。
わたし、まだ何も伝えられていない。
掠れた声に、玄弥くんはまた「ごめん」と呟いた。
『無一郎ッッッ…………!!!!』
――――バァン!
無情に響く銃声が、夜を引き裂いた。
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朱音 - コレは涙ナシには読めません!!ホント作者さんは神です。 (1月4日 18時) (レス) @page47 id: f38b69f778 (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - お疲れ様です。 マジで泣ける。だいたい夢小説ってご都合の良いもの多いけど、この小説は神。無一郎&夢主来世で幸せになってるのうれしすぎ、、!文才ありすぎでしょうらやましい 長文失礼しました これからも頑張ってください! (2023年3月21日 11時) (レス) @page47 id: 1934e7457c (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - Chiffonさん» あわわ、ありがとうございます〜!!なんかめちゃくちゃ嬉しいこと言われて、テンションがおかしくなった作者です() 今世で亡くなることは初めから決まっていたので、そこはサラサラと書けましたね。徹夜で最後まで読んでいただきありがとうございました〜!! (2021年10月10日 21時) (レス) @page47 id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
Chiffon - あの…徹夜で読んだ中学生です…。作者様に一言。泣きました…。今世で亡くなっても来世でまた再開するところとか…。あとですね、文才がですね…。ください← ………すみません。深夜テンションなので意味不明ですね。とりあえず…素敵な作品をありがとうございます (2021年10月8日 4時) (レス) @page47 id: 030621147b (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 無有さん» コメントありがとうございます〜!!スランプ気味ではありますが、次の作品も頑張りますね。 (2021年10月7日 17時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楪日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/
作成日時:2021年5月9日 14時