轟くんは双子《僕のヒーローアカデミア》

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「Aは俺のモノ何だからさぁ」

「ッ！！？」



その男の笑顔を見た途端、身体が震え上がった。



何、何なんだ？！

身体が、言う事を聞かない…！！



ゆっくりと伸びてくる男の手を凝視する事しか出来ない。



「A！！」

「ッ…！！？」



焦凍に引っ張られて事なきを得た。


心臓がドクドクと脈打ち手が、足が震えた。

脂汗が額に浮かび、過呼吸になりかけたけど、耐えた。



得体の知れない恐怖に私は相対して、困惑した。



「ハァッ…ハァッ…ッ」

「大丈夫か？！しっかりしろ！！
敵前で突っ立ってたら危ねぇだろ！」



焦凍の心配する声に少しずつ手足の震えが治っていく。



「大、丈夫ッ…！！」

「へぇ、大丈夫何だぁ…
じゃあこれも大丈夫かなぁ？」



顔を上げた私を見て、男は楽しそうに口元を歪め黒いモヤに手を突っ込み包丁を取り出した。



ドクンッ



「ヒュッッ…！！！」



呼吸の仕方を忘れた喉が鳴った。



脳裏には前世で起こった事件がプレイバックした。

そして、目の前で両親と妹、弟を滅多刺しにして微笑む双子の兄(・・・・)と目の前の男が重なった。



「や、やめてぇえええ！！！
狂夜(きょうや)！！！」

「！！正解だよぉ！A！」



私の目から止め処なく涙が溢れた。

私の叫んだ名前にその男、狂夜は嬉々として微笑んだ。



私が臆病者の卑屈で卑怯になった原因、それが今目の前にいる…！！

私の大切なモノを全て壊した張本人が…！！



治った震えが再び甦える。



「A！！逃げろ！！」

「ッ！！ぁ、いやっ！！」



焦凍の声に顔を上げると目の前まで狂夜が迫っていた。

私は恐怖に震え、うずくまった。



「ああ、その顔…最高に唆(そそ)るよぉ
やっぱりAは最高だぁ」

「ヒィッ…！」



両手で頰を包み込み上を向かされ、涙に滲む目尻をペロリと舐められた。

震えは治らず、もう終わりだと思った。



「Aから離れろ！！」



パキパキパキッ



狂夜と私の間に巨大な氷壁が出現した。



「大丈夫か！？」

「し、焦凍…」



焦凍に支えられ、震える手で焦凍に縋り付いた。

安堵した。



「…その顔はダメだなぁ

俺を見てその顔なら許すよぉ
けど…他の男には許さない」

「ヒィッ…！！」



ニヤニヤ顔から一変して鬼の様な形相に私は思わず悲鳴を上げた。



ドォオオオオオオン！！



辺りに崩壊する音と砂埃が舞う。



「…チッ、潮時かぁ」

「っ…！」

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