【ハイキュー】 ご奉仕、吸血鬼執事 【赤葦京治】

10　信頼と裏切り ページ10

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吸血鬼執事とは想像以上に深いものだった。
主人がいなければ成立しないこと、主人に絶対に忠実であること。
自分の意思がまったく通らない窮屈な世界に彼らは存在する。



私は吸血鬼じゃないけれど彼の気持ちは
なんとなく分かる気がした。




「吸血鬼執事って主人は1人なんですか？」

「はい」

「赤葦さんは私の吸血鬼執事ってことになってますけど…
　その、今まではどうしていたんですか？」




今日から私は赤葦さんの主人になることになった。
それでは今まで赤葦さんは他の誰かに仕えていないといけないことになる。




「以前までは…他の主人がいました」




そう言った赤葦さんの表情に背筋が凍った。
悲しそうで辛そうだけど、憎しみに満ちたその表情。
今その人がどうしているのか聞こうとしたがやめた。




誰にだって触れられたくない過去の1つくらいあるものだから。




「俺達は主人に人生を捧げる覚悟で生きなければなりません。
　お嬢様の言ったことに従い生きる。ただそれだけです」


「あの、1つお願いしたいことがあるんですけど…」

「お嬢様に従順に生きる存在です。
　何でもお申し付け下さい」




私は今まで孤独で苦しいと感じることが多かった。
次第に涙なんて流さなくなって心も全部壊れそうだったところに
彼が現れてまた生きる希望を持った。



だから…貴方にもそう思って欲しい。




「私、赤葦さんに自分の意思を持って行動して欲しいんです。
　悲しくて嫌なことがあれば泣いて嬉しいと笑って……
　私と一緒に普通に楽しく暮らして欲しいんです。」




傷を舐めあうような関係と思われるかもしれない。


けどそれでいい。
私は…誰かに側で一緒に笑って欲しかったんだ。

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