chapter:10 ページ10
あの日から早数か月が経った。
キ:「レト、体調は大丈夫か?」
レ:「キヨ君、俺を心配してくれるんは嬉しいんやけど…流石に聞きすぎとちゃう?ほぼ毎日聞いてくるで?」
レトの机の前の椅子に座ってレトの方へ向きながら、キヨは真顔で聞いてくる。レトはまたか…と呆れた表情を浮かべる。
キ:「だって、小さい頃の記憶みたいなのが見えたって前に言ってただろ?記憶が思い出せるのは良い事でも、その反動で体調に何かしら現れる事もあるかも知れねえじゃん」
レ:「また何かあったらキヨ君に言うし……それに俺隠し事下手やから。仮にキヨ君に黙ってても絶対バレると思う」
レトはいつもと変わらない笑みを浮かべながらキヨに伝えると、キヨも安心したのかフッと笑う。
キ:「んじゃ、何かあったら絶対に俺に話す!約束な」
レ:「おう」
キヨとレトは手で拳を作り、コツンとお互いの拳を当てる。
『何が約束なの?』
レ・キ:「「うわあぁっ!!」」
レトの机の横にしゃがみ込んで、2人の間に入るA。
レ:「長谷川さん、ビックリさせんといて」
キ:「ったく……急に出てくんなよな」
『何回も呼んだよー?でもレトくんもキヨくんも全然聞いてなかったみたいだけどね』
頬を膨らませて、2人をジーッと見るA。
レ:「ごめんごめん」
キ:「………」
キヨは何も答えず、レトの持っていたペンを指で器用に回す。
『それで?何が約束なの??』
レ:「えっ?!別に大した事ないねん」
キ:「男同士の約束だしな」
『あーっ!2人ばっかりズルい!私にも教えてよー!』
Aはポカポカとキヨの頭を叩く。
キ:「いって!止めろって!」
レ:「!!」
キヨはポカポカと叩くAの手を掴む。
キ:「お前、力つえーんだよ」
『また“お前”って言ったー!私にはAっていう名前があるんだから、ちゃんと名前で呼んで!』
キ:「……お前は“お前”で十分だっつの」
キヨはAの頭をガシガシと乱暴に撫でる。
『キヨくん!!』
キ:「……お返し」
キヨはベーっと舌を出す。
『〜〜〜!!レトくん、キヨくんったら…ってレトくん?』
キ:「!」
Aがレトの席に目を向けると、先程まで座っていたレトの姿が無かった。
レトは1人、廊下を歩いていた。
レ:(別に2人が話してる姿なんていつも見てる事…だけど…)
レトは先程キヨがAの手を掴んでいる姿を思い出す。
レ:(……あの光景を見ると…胸が苦しい)
レトは胸元のシャツをキツく握りしめた。
23人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
香澄(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!!とても嬉しく拝見しました(*^^*)あいさんに気に入って頂けて、本当に本当に嬉しく思ってます!他の作品も是非よろしくお願いします(*´ω`*) (2016年4月3日 16時) (レス) id: fe97a84109 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 完成度が高くてとてもびっくりしました!終わり方なんかも魅力的で私好みでした(*´ヮ`*)次の作品も楽しみにしています! (2016年3月30日 17時) (レス) id: 6587901ccd (このIDを非表示/違反報告)
香澄(プロフ) - 杏さん» コメントありがとうございます!最後まで見て下さってありがとうございます(*^^*)これからも頑張りますので、是非これからも読んで頂けると嬉しいです♪(*´▽`*) (2016年1月11日 22時) (レス) id: 84a4fe9ab3 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - 一気に読んでしまいました!めちゃくちゃ面白かったです(*^^*) (2016年1月10日 19時) (レス) id: 06b9bb2462 (このIDを非表示/違反報告)
香澄(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます!初めまして林檎さん(*^^*)キヨさんとレトさんと同じように泣いてしまったと聞いて、本当に嬉しく思います(*^^*)キミカレを読んで頂いて、本当に本当にありがとうございます(*^-^*) (2015年11月23日 23時) (レス) id: fe97a84109 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:香澄 | 作成日時:2015年9月24日 0時