chapter:44 ページ44
レトの母はあの頃を思い出しながら話し続ける。
レトの母:「Aちゃんは家に何度か遊びに来てたの。控えめで、玲汰と拓海君が遊んでるのを見てるだけって感じだったけど、礼儀正しくて、ご飯も美味しいって食べてくれて……お母さんもAちゃんが好きだったわ」
レ:「…」
レトの母:「でもあなたが事故……いえ、記憶を失ったあの日、拓海君からあなたが家を飛び出したのはAちゃんが呼び出したからって聞いた。その時にAちゃんを恨むようになったの。どうして玲汰を巻き込んだの?あの子に何をしたの?答えのない疑問ばかりが浮かんでいたわ」
レトの母親は窓から外を見つめる。
レトの母:「玲汰をこれ以上苦しめたくない、そう思って拓海君や拓海君のお母さん、お医者さんの間であなたにAちゃんの事を思い出させないようにしようって話し合ったの」
レ:「だから、写真を捨てたの…?」
レトの問いに母親は頷いた。
レトの母:「あなたが記憶を失う程の悲しみをまた思い出すなんて…私は反対よ。」
レ:「……」
レトの母はレトをギュっと抱き締める。
レトの母:「だって、あなたは私の大事な息子なんだもの…」
レ:「母さん…」
レトは母親を抱き締め返した後、再び口を開く。
レ:「記憶を失う位俺がショックを受けたのを思い出すのは正直怖い…でも、俺思い出したいねん。どんなに悲しくて辛い過去でも、俺が通った思い出の一つだから」
レトは母親をジッと真剣な瞳で見つめ、その目を見た母親は瞳を閉じてレトの肩に手を置く。
レトの母:「そう……もう、決めたのね」
その言葉に頷くレト。
レトの母:「……分かったわ。玲汰が決めたなら、お母さんもう止めないわ」
レ:「ありがとう…母さん」
そして、ガラッと扉が開かれる。
キ:「……よぉ」
レ:「キヨ君、連絡着いたん?」
キ:「あぁ、もう少しで着くんじゃねえかな」
キヨは病室に入って、椅子に腰かける。
レトの母:「??誰か来るの?」
レ:「……まだ本人かどうか、俺にも分からへんねん。でも確かめたい」
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数十分後、レトの病室のドアが開かれた。
『レトくん!キヨくんから連絡あって、退院の支度手間取ってるっ……て…』
扉を開けて入ったAは、病室がすでに片付けられてるのを知った。
『あれ?支度終わってる…?』
キ:「……悪いな、嘘なんだ」
『え、嘘?何でそんな嘘を…』
Aは混乱しているようだった。
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香澄(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!!とても嬉しく拝見しました(*^^*)あいさんに気に入って頂けて、本当に本当に嬉しく思ってます!他の作品も是非よろしくお願いします(*´ω`*) (2016年4月3日 16時) (レス) id: fe97a84109 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 完成度が高くてとてもびっくりしました!終わり方なんかも魅力的で私好みでした(*´ヮ`*)次の作品も楽しみにしています! (2016年3月30日 17時) (レス) id: 6587901ccd (このIDを非表示/違反報告)
香澄(プロフ) - 杏さん» コメントありがとうございます!最後まで見て下さってありがとうございます(*^^*)これからも頑張りますので、是非これからも読んで頂けると嬉しいです♪(*´▽`*) (2016年1月11日 22時) (レス) id: 84a4fe9ab3 (このIDを非表示/違反報告)
杏 - 一気に読んでしまいました!めちゃくちゃ面白かったです(*^^*) (2016年1月10日 19時) (レス) id: 06b9bb2462 (このIDを非表示/違反報告)
香澄(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます!初めまして林檎さん(*^^*)キヨさんとレトさんと同じように泣いてしまったと聞いて、本当に嬉しく思います(*^^*)キミカレを読んで頂いて、本当に本当にありがとうございます(*^-^*) (2015年11月23日 23時) (レス) id: fe97a84109 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:香澄 | 作成日時:2015年9月24日 0時