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給食を食べたことと、1日の疲れがジワジワと来たことで眠気に襲われることの多い午後の授業を終えて、担任がおじいちゃん先生だから他のクラスよりいつも少し遅い終学活。

『あれ、雨降ってきた』

教室の窓から見えた景色を呟くと、近くにいた友達が「え、やだ〜」「今日傘持ってない!」と言ったことで、雨降ってんの?と教室が騒がしくなった。

「雨止むかな〜?」

『ラッキー、私折りたたみ傘持ってる』

「はぁ!?何それズルくない!?」

今日みたいな、急に雨が降った時用にいつも折りたたみ傘を持ち歩いていてよかったとつくづく思った。

こんな日は傘を持っている人は謎に "勝ち組" 扱いだ。そして「私も入れて」という決まり文句までがセット。まあ入れてあげるんだけど。

終学活も終わり、友達と雑談しながら帰る準備をする。今日の授業難しかったとか、今日の夜に放送されるドラマだとか、話題がコロコロ変わる。

「失礼します、Aせんぱ…乃々宮先輩いますか?」

教室の入口から聞こえた彼の声。一応先輩の教室だからちゃんと敬語を使っている。でも前は尖ってたの知ってるよ、なんて本人には言わないけれど。

『松野くん、いつものA先輩って途中まで言っちゃってたよ』

わざわざ来てくれた松野くんのほうへ行きながら思わず笑って言うと「これはしょうがないッス!」と返ってきた。

『それで、どうしたの?』

「えっと…一緒に帰りません?」

前に危ないから送ると言ってくれた時とは違う控えめに聞いてくるような言い方に、少し違和感を覚えた。…あ、そういうことね。

『傘忘れたんだ』

「うっ…」

『それで傘持ってるであろう私と相合傘して帰ろ〜ってこと?』

「エッ!?いやそんなことは…!」

焦って顔をほんのり赤らめる松野くん。『さっき降ってきたし仕方ないよ』と言いながら、キミはほんとに可愛いな、と改めて思った。

『そんなに焦らないでよ、一緒に帰ろ!』

「…ッス」

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作者名:イカスミチャン | 作成日時:2021年6月27日 0時

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