とうぇんてぃーしっくす ページ41
タン、とエンターキーを押して文を打ち込み終わる。
会議室の空気は中々酷い。
幹部の方は怒ったような顔をしていたり、悲しそうな顔をしていたり。
ああ、疲れた。こんなにタイプしたのは久々だ。
そして重苦しい空気の中、彼が口を開く。
gr「話してくれてありがとう。我々は君のことを何時も素晴らしい音楽家だと思っている。
そしてこれからもずっとだ。それは永遠に変わらないだろう。
生贄だったからなんだ？そんな事で我々が意見を、思想を変えるはずがない。」
僕の過去を、「そんな事」で片付けてくれた。
嬉しかった。下手に同情されなくて。
総統が喋ると、それに続いて皆が喋りだす。
tn「せやな。しっかし、ウチの国に来てくれてありがとうなぁ。音楽家さんがいるんは嬉しいわ。」
ut「いやー。知ってたけどやっぱα国の王ってぐうクズやわ。」
隠し事を話すのは心配だったが、それは杞憂だったようだ。
だってこんな簡単に受け止めてくれる方達だったんだ。
sn「ねえ、義足作ろうか？知り合いに頼めばスグだよ。」
『いいえ、大丈夫です。靴に無機質なモノを履かせるのはどうにも...。靴もきっとちゃんと足に履いて貰える方が嬉しいでしょう。』
sha「ほんっとに靴好きやなぁ。」
もちろん。でもこれはきっと執着心の方が強いと思う。
ch「あの、声出せるんですよね。なんか鼻歌っぽく、こう、歌って貰えません？」
どうだろう。声を出したのはタイプするよりも遥か昔だ。
出せるだろうか。
チーノ様の発言を聞いていたようで、皆さんの目がこちらに向く。
顔が熱くなる。何だかじっと見られると恥ずかしい。
僕は『我々国国歌』を鼻歌で歌った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
gr side
彼は歌った。と、言っても鼻歌だったが。
初めて聞いた彼の声は少し震えていたが、その瞳のように透き通っている声だった。
彼は歌い終わると、パソコンに向き直り、
『どうでしたか？』
と打った。
当たり前だろう。自分の口角が上がっていくのが分かる。
gr「フッハハハハ！！素晴らしかったに決まっている。それでは改めて、A・サクリフィスを我々国音楽隊隊長に任命する。」
会議室の空気は一変し、幹部の歓声に包まれた。
すると水晶の瞳を持つ、半ズボンを履く彼は穏やかな笑みを浮かべた。
fin.
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Nanaki(プロフ) - ノエルさん» 完結させて頂いた！！コメントありがとうございます！ノエルさんのその一言が次の作品を書く意欲につながります！ (2019年11月17日 23時) (
レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - なみだめさん» おめでとうコメントをありがとう！なみだめさんを楽しませることができて嬉しい！！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - mo4さん» mo4さんのコメントで更新頑張れました！読んで頂けたうえに面白いと言っていただけて幸せです。ありがとうございます！！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - あめさんさん» しっかり読んでくれてありがとうございます！命令系敬語がすき...同士ですね！？いやこれ同士だわ。(確信)次の作品ももし良ければ読みやがれ下さい！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - yukinaさん» ありがっと！次の作品もよろしくです！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nanaki | 作成日時：2019年11月2日 2時
