とうぇんてぃーつー ページ27
まさかもう傷跡を見られているなんて。
夢にも思わなかった。
きっと幹部のみなさんはもうこの情報を共有している事だろう。
この傷を見て引くような方たちではないのは分かっている。分かっているが気分はなんだか落ち込んで。
取り敢えずパーカーを脱いで聴診器を当ててもらう。
心音を聞くのは邪魔してはいけないから、口を噤む。客室内は静寂に包まれた。
自分の呼吸音と、心音が聞こえる。
耳をすませばカチコチと時計の秒針の音が聞こえ、何だか安心する。
sn「...うん、いいね。特に異常は無いみたいだからこれでおっけー。どう？眠れそうかな？」
『はい。ありがとうございます。あの、僕明日何時に起きれば良いでしょうか。』
sn「ああ、じゃあ8時位に幹部の誰かよこすからそれまでに起きといて。んじゃ、俺はAくんが眠るまでここに居ようかな。」
いつの間にかしんぺい神様は僕のことを君付けで呼んでいて、それが嬉しくて。僕はニッコリと微笑み、
『おやすみなさい。』
と口を動かして目を閉じた。
すると暖かなものが僕の目に触れた。
しんぺい神様の大きくて暖かい手が僕の目を押さえた。
sn「おやすみ。」
僕はゆっくり、ゆっくりと意識を暗闇に落としていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝。起きると六時半だった。
まだかなり時間に余裕がある。
よく見ると、この客室の壁は防音設計になっているようだ。
だからショッピ様たちは僕にこの部屋を...。
何から何まで、本当に頭が下がる。
僕はただの国民なのに、こんな好待遇を受けていて良いのだろうか。
顔を洗い終え、身支度を整える。
まだ30分程は余裕がある。バイオリンでも弾こう。
『アメイジング・グレイス』
これは僕がまだオルガニストだった時の十八番の曲。
この曲は僕達に希望を与えてくれるものだった。
光だった。
僕達はこの曲を歌って、演奏して生きてきた。
...まあもう僕しかいないけど。
コンコンコンと扉がノックされる。
ht「Aさん、朝ご飯出来たよ。」
それを聞き、僕はバイオリンなどをしまって一つにまとめる。いつでもこの城を出ていけるように。
扉を開けてひとらんらん様を見る。
『おはようございます。』
ht「うん。おはよう。...ねえ、車椅子、押してもいいかな。」
もう足のことはバレているしいいだろう。
『お願いします。』
そう言うと、彼は花を咲かせたように笑った。
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Nanaki(プロフ) - ノエルさん» 完結させて頂いた！！コメントありがとうございます！ノエルさんのその一言が次の作品を書く意欲につながります！ (2019年11月17日 23時) (
レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - なみだめさん» おめでとうコメントをありがとう！なみだめさんを楽しませることができて嬉しい！！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - mo4さん» mo4さんのコメントで更新頑張れました！読んで頂けたうえに面白いと言っていただけて幸せです。ありがとうございます！！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - あめさんさん» しっかり読んでくれてありがとうございます！命令系敬語がすき...同士ですね！？いやこれ同士だわ。(確信)次の作品ももし良ければ読みやがれ下さい！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
Nanaki(プロフ) - yukinaさん» ありがっと！次の作品もよろしくです！ (2019年11月17日 23時) (レス) id: 98fbb2e461 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nanaki | 作成日時：2019年11月2日 2時
