選手としてみた、されてみたサムライブルー編2【短編集】

発散 Shogo.T ページ10

『ねぇ彰悟くん···、今日って何曜日？』

「日曜日。それがどうかしたの？」

『日曜日か···。資料作成明日までじゃん、詰んだ·····』

「いやちょっと待って、明日は確か祝日だろ？休みじゃないのか？」


俺に向けられたAの死んだ目が、だんだんと光を取り戻してきた。


『嘘、明日祝日？！資料作成の時間が1日延びたぁ！やったやったー！！』


···この子だめだ、働きすぎて考え方が完全に社畜と化している。放っておいたら絶対このまま過労死するやつだ。
それは何がなんでも阻止したい。何かストレス発散になるものを提案しなければ···。


「あっ、そうだ。A、午後は俺と一緒にジムに行かない？いいストレス発散になると思うよ」



















『スーーーッ···セイッ！！』


Aはサンドバッグに重い右ストレートを放ち、左脚で回し蹴りを叩きこんだ。


『やばい、超楽しい···！』

「な、たまにはこういうのもいいだろ？」

『うん！なんか空手やってた時代を思い出したわ』



彼女は汗を拭って、キラキラとした笑顔を見せた。
ほんの数時間前までこの世の終わりみたいな顔をしていた人とはとても思えない。


『マジで最近は仕事仕事で死にかけてたからさ、ありがとう彰悟くん。めっちゃいいストレス発散になったよ』

「それなら良かった。休みの日ぐらいは仕事のことはちょっと置いといてもいいじゃない。休むときはちゃんと休まなきゃだめだよ。おっけー？」

『はーい、気をつけまーす』



後日、俺たちは毎週日曜日をストレス発散デーと定めて、ふたりでジムに通うことにした。






(requested by りんか様)

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