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妹 Kaoru.M ページ15

高二になって間もなく、俺に一大イベントが訪れた。

放課後、父から連絡を受けた俺はすぐさま病院へと自転車を飛ばし、病棟の一室に向かった。

息を切らしながら部屋のドアを開ける。


《おお、だいぶ早かったな薫。飛ばしてきたのか?》

「そりゃ、ね。早く会いたかったから」

《学校帰りで疲れてるだろうに、わざわざありがとね。ほら、薫も抱っこして。写真撮るから》


そう言って母は小さな命を俺の腕の中にそっと預け、カメラのシャッターを何度か切った。


小さくて、あたたかくて、柔らかくて、壊れてしまいそうで。なのに、しっかりと腕に重みが伝わってくる。



「俺がお兄ちゃんか···。なんか全然実感湧かない」

《あら、そう。薫、絶対この子のこと構いまくってすぐお兄ちゃんの顔になっちゃうわよ》

《そうだな。きっと薫はいいお兄ちゃんになれるよ》


父と母からそう言われ、なんとなく照れくさくなる。

恐る恐る指を生まれたての小さな手に差しだしてみると、彼女は力強く俺の指を握った。

その瞬間、俺がこの子を守らなくては、という強い思いが芽生えた。


「···そういえば、名前は決まったの?」

《Aちゃんよ。薫からも呼んであげて》


"A"という言葉の響きを噛み締めて、すやすやと眠る彼女に、俺からはじめて名前を呼ぶ。


「A、生まれてきてくれてありがとう。俺の名前は薫。今日からお前のお兄ちゃんだよ」



そのときのAは、心做しか笑っているように見えた。





(requested by あぱぁ様)

推し···?2 Ko.I→←_ Kaoru.M



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茜屋(プロフ) - kangarooさん» 良かったです🫶リクエストありがとうございました!! (5月16日 16時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 茜屋さん» リクエスト書いてくださってありがとうございます!!めっちゃきゅんきゅんしました...。 (5月16日 15時) (レス) @page29 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - kangarooさん» 承りました!リクエストありがとうございます!! (5月11日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - コメント失礼しますっ。リクエストで、傷跡シリーズの谷口書いてほしいです!いつもきゅんきゅんな物語ありがとうございます!! (5月10日 22時) (レス) @page28 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - おさすみさん» 了解です!リクエストありがとうございます💞💞 (5月9日 6時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茜屋 | 作成日時:2023年1月30日 8時

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