選手としてみた、されてみた龍神編【短編集】

俺だって Tomohiro.O ページ8

男子バレー部でマネージャーをしている私。
最近、うちの守護神である小川智大とかいう男と顔を合わせる度に思うことがある。


めっちゃ可愛い。

男子高校生にこんなことを思うのは失礼なのかもしれないが、そんなこと言っても事実は事実だ。実際男子からも可愛いって言われてるし。
で、そうやって言われて怒ってるのも可愛い。

なんだあいつ、最強じゃん。


そんなどうでもいいことを考えながら、どでかいダンボール箱を抱えて立ち上がった。


しかし歩き始めて早々、私にピンチが訪れた。

やばい、結構重い。


体育館があるのは今いる場所の真反対側。道の途中に段差も何段かある。

そう考えるだけで気分はかなり落ちた。

ため息をひとつついた瞬間、突然横から大きな手が伸びてきて荷物をひょいっと取り上げられた。

その主は例のあいつ。


「これ、部室までだよね？」

『え？うん···』

「おっけー」


それだけ言ってさっさと歩いていく智大。私は慌てて彼を追いかけて引き止めた。


『待って、智大がそんな重いの持って大丈夫なの？』

「さっきまで辛そうにしてたAに言われたくないんだけど」

『う、うるさいな！』

「あとお前は俺のこと舐めすぎ」

『は？！別に舐めてなんか···！』


急に図星を突かれてあたふたする私を見て、智大はふっ、と嘲るように笑った。



「まあ任しとけって。俺だって男だから」

『！』


智大はそう言って笑って、また私に背を向けて歩きだした。

確かに、智大は女の私には無いものをたくさん持っている。
体は筋肉質で締まってるし、手も骨張ってて大きいし、喉仏も出てるし。

普段は他の男子にからかわれてばっかのやつのクセに、こうして見るとちゃんと男性的なところもあるとかほんとにずるい。



···あーあ、好きになっちゃった。


『くやしー···』

「ん？なんか言った？」

『んーん、何も』



その気持ちは胸にそっとしまって、彼の隣をどこかぎこちなく歩いた。








(requested by あいぱれっと様)

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