選手としてみた、されてみた龍神編【短編集】

キス Yuji.N ページ5

「好きです、付き合ってください」


親友であり、初恋の相手であり、ずっと憧れの存在でもあった有志に、陽が傾き始めた頃の体育館で突然告白された。

嬉しくて嬉しくて、声が出るより先に涙が出た。
私は彼に向かって何度も首を縦に振って、必死に承諾の意を伝えた。


『うん···っ！』

「えっ、ほんまに？！めっちゃ嬉しい！」


有志は私の頭をぽんぽんと撫でて、優しく抱きしめてくれた。
彼の胸の奥から聞こえてくる、高鳴る心臓の鼓動がなんとも心地いい。


「ねぇA、目瞑って」


いきなりそう言われて少し戸惑いながらも、彼の言う通りにぎゅっと目を閉じた。



目を閉じて数秒後。柔らかいものが唇にそっと触れた。

その感触にびっくりして目を開けると、有志は真っ赤にした顔を両手で覆って隠していた。


『有志、今のって···』

「そんなん聞かんでも、だいたい見当つくやろ···」


有志はうるうるとした目をこっちに向けてきて、恥ずかしそうに言った。


「俺こういうことしたんAが初めてやし、あんま下手とか言うなよ？」

『え、初めてだったの？！』

「···悪ぃかよ」


正直意外だった。

てっきりもう過去に他の女の子との関係があったのかと思って、こいつへの恋心なんて半ば諦めていたのに···。


『有志』

「なんや？」

『私の初めて、奪ったんだから大切にしてよね』

「ばーか、言われんでもそうするわ」

『···好き』


さっきのお返しと言わんばかりに、今度は私から唇を重ねてみた。





(requested by みー*様)

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