選手としてみた、されてみた龍神編【短編集】

なぐさめ Kentaro.T ページ27

リビングのソファに横になって、天を仰いだ。


最悪だ。

あの場面での一本、逆転のチャンスだったというのに、それでも俺は決めきれなかった。

戦犯は言うまでもなくこの俺だ。今日の試合は特に大事だったというのに。
情けなさからか、急に天井の白が眩しく感じて、思わ手で視界を遮った。



『健太郎？』


Aの声がして、覆っていた手を外した。
目が合った瞬間、Aは驚いたような声色でどうしたの、と言って俺の両頬に手を添えた。


「Aこそ、そんな大袈裟な反応しちゃってどうしたんだよ」

『だって、健太郎泣いてる』

「え···？」


そんなわけないと思いながら目元を拭ってみると、水滴が静かに指を伝った。



『何かあったの？』

「まぁ···、無かったと言ったら嘘になるな」


聞いてくれる？と訊いてみると、Aはもちろん、と快く頷いてくれた。


俺は胸の内を全て正直に打ち明けた。
Aは何を言うでもなく、ただずっとそばにいて俺の話を聞いてくれていた。


ひと通り話し終えると、Aは俺を抱きしめて背中をさすった。



『話してくれてありがと。健太郎は優しい人だからきっとそうやって自分のせいだって思ってるんだろうけど、そういうのは誰のせいとかないと思うよ』

「···」

『あんまり自分のこと責めないであげて。本気で頑張ってるんだもん、頑張った分いっぱい褒めてあげないと』

「A···」



よしよし、と言って俺の頭を撫でるAの手が暖かくて、どことない息苦しさが消えた気がした。











(requested by ルカ様)

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