プロポーズ Tomohiro.Y ページ26
「『かんぱーい!』」
グラスのぶつかる音がリビングに響いた。
ワインを数口喉に通して、赤紫の水面に浮かぶ自分と数秒間見つめ合ってみる。
「どうしたの?」
その声で顔を上げた。視線の先にいるのは、微笑みを浮かべながら、首を少し傾げている智大。
『私ね、最近になってようやく赤ワインの美味しさに気づいたの。昔はこの苦味があんまり好きじゃなかったんだけど、今となってはそれがマジ最高でさー!』
「へぇー、ちょっと大人になったんじゃん?」
『うん、きっとそうだね。これを美味しいと思う日が来るなんて、私ももういい歳だなー···』
「···そうだね、いい歳だよ」
智大は急に真剣な声色でそう言って、グラスの中のワインを一気に飲み下した。
そうかと思えば勢いよく立ち上がって、私のことをまっすぐに見つめてくる。
「A、俺らもうカレカノやめようよ」
『は···?!智大あんた何考えてんの、なんでそうなんのよ!そんなの絶対やだ!』
私が必死に食い下がると、智大は焦ったようにすぐさま言葉を被せた。
「いや、そういうことじゃなくて。···ごめんな、最初っからはっきり言えない意気地無しで」
どういうこと、と訊こうとすると、それを私に言わせる間もなく彼は私の右手の薬指からペアリングを引き抜いた。
今度はそれを左手の薬指に通して、ぎゅっと手を握られた。
「A、いや、Aちゃん。俺と結婚してください」
Aちゃんというのは、出会った頃の呼ばれ方。
あの頃の懐かしい日々が脳裏に鮮明に蘇った。
嬉しさでぼろぼろ泣きながら、私もあのときの呼び方で彼の名前を呼んでみる。
『···こんな私でよければ。これからもよろしくね、智大くん』
「ありがと。大好きだよ、A」
『私も智大がだーいすきっ』
眩しい銀色を飾った左手をがっちりと繋いで、婚約者になってはじめてのキスを交わした。
(requested by 凛音様)
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茜屋(プロフ) - タカハシナツコさん» こちらこそリクエストありがとうございました!嬉しいお言葉もありがとうございます✨💞これから短い間ではありますが今後ともよろしくお願いします🫡 (5月1日 8時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
タカハシナツコ - リクエストにこたえて、いただき本当にありがとうございます。とても良かったです。リクエストに2つも、書いてくださり、本当にありがとうございました。嬉しかったです。頑張って下さい。応援しています。更新、楽しみにしています。 (5月1日 7時) (レス) id: 9dcc40d861 (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - noaks3814さん» かしこまりました🫡リクエストありがとうございます!! (4月22日 21時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
noaks3814(プロフ) - 初コメ&リクエスト失礼します 狂愛の小野寺選手バージョンで夢主が堕ちちゃうパターンがみたいです (4月22日 20時) (レス) @page32 id: 07d42dee40 (このIDを非表示/違反報告)
茜屋(プロフ) - かえでさん» リクエストありがとうございます!内容はいかがいたしましょうか🤔? (4月22日 7時) (レス) id: 556e637f1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜屋 | 作成日時:2023年10月8日 22時