選手としてみた、されてみた龍神編【短編集】

＿ Tomohiro.O ページ23

るんるんとした足取りでリビングに向かい、私はさっきコンビニで買ってきた月刊バレーボールを開いた。

毎月発売されるのを楽しみにしているのだが、今月は特にそうだった。
というのも、今月号には彼氏である智大が特集されているのだ！


『うわぁー···、最高』


そんな独り言を時折呟きながら、ページをめくっていく。

どこまで進んでも智大だらけ。私のテンションは上がりまくっていた。



『え、この写真ビジュ良すぎん？！やば？！』

「何一人で喋ってんだよ」


急に話しかけられて後ろを振り返ると、そこには智大が立っていた。


『智大？！いつの間に···』

「ついさっき帰ってきたとこ。ただいまって言っても返事無いから、どうしたのかと思ったら···」

『うっ···ごめん、おかえり』

「ただいま。あれ、それってもしかして今月号の？」

『そう！もう楽しみでしょうがなくてさ、今日の仕事帰りに買ってきちゃったんだ〜』

「ふーん···」


私が再び智大の写真に目を落とすと、突然後ろからぎゅっと抱きしめられてひょいっ、と雑誌を取り上げられてしまった。


『あっ、ちょ、私まだ読んでるんだけど···』

「やだ、読まなくていい」


そう言うと彼はさっきよりも強い力で私を抱きしめてきた。


「なんでそっちの俺ばっか見るの」

『なんでって、そりゃかっこいいからだけど？』

「本物よりも？」

『ううん、本物のほうがずっとかっこいい』


智大は満足気に笑うと、こっち見て、と私の顎に手を添えた。



「Aはずっとこっちだけ見てればいいの。分かった？」

『うんっ』


智大がふふ、と笑ったのを合図に、どちらからともなく唇を重ねた。









(requested by あべるー様・ノアの方舟様)

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