選手としてみた、されてみた龍神編【短編集】

あまあま Kento.M ページ21

オフの日の朝、毛布の中を動く何かに違和感を覚えて目が覚めた。

布団をめくると、そこには俺の腹筋に顔をうずめているAの姿があった。


「···何してんの」

『寒いから暖とってる』

「は、」


あまりの可愛さにニヤケが止まらなくて思わず口元を手で覆った。

信じられないかもしれないが、この可愛い生き物が紛れもなく火の鳥NIPPONのエースアタッカーである。


「ねぇこっち来てよ、Aの可愛い顔見せて」

『もー、しょうがないなぁ』


もぞもぞと布団の中を這って近づいてくるA。
そして俺の腕の中にすっぽりと収まった。


『健人あったかい、ぎゅーしながら寝ていい？』

「別にいいけど、寝込み襲うからな？」

『やだ、えっち！』

「先にやってきたのはどっちだよ」

『ぅ···』


何も言い返せなくなって黙りこんでしまったA。
悔しそうに俺を見てくる顔がなんとも可愛らしい。


「あっ、そういえばAはもうすぐ代表の合宿始まるんだっけ？」

『うん、今週末から』

「じゃあさ、代表行く前に俺とバレーしてよ」

『いいよ？じゃあ今日公園行くってこと？』

「そいこと」

『よっしゃボコボコにしてやる』

「マジか、お手柔らかによろしく」

『えー？どうしよっかなぁー？』



そう言って今度は少し意地悪そうに笑った。

まるで子犬のように表情をころころと変えるAが本当に愛くるしくて、Aをぎゅっと抱き締めた。



『健人？どうしたの？』

「···Aってほんと罪な子だよね」

『へ？』



Aのぽかんと開いた唇に自分のをそっと重ねた。

強くて可愛くてちょっぴり小悪魔な、そんなAが大好きだよ。









(requested by ひいらぎ様)

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