選手としてみた、されてみた龍神編【短編集】

嫉妬 Tomohiro.Y ページ19

パナソニックアリーナでの試合後。

家に帰る前に智大に会いに行こうと思い、私は人がはけたのを見計らって関係者用の通路に入った。

しばらく歩いていると、見覚えのある姿が遠くに見えた。


『あっ、有志くーん！』


私が名前を呼びながら駆け寄ると、有志くんはいつものキラキラした笑顔を私に向けた。


《Aちゃん！久しぶりやなぁ！》

『有志くん今日もバンバン決めててめっちゃかっこよかったよ！』

《ありがと、めっちゃ嬉しい！でもそういうことはもっと言うべき人にちゃんと言ってあげなあかんで〜？なぁAちゃーん？》

『あー！頭ぐしゃぐしゃにすんなー！』


おりゃー、と言いながら私の頭を大きな手で撫でてくる有志くん。

するといきなり有志くんの後ろから腕が伸びてきて、彼の手首をがしっと掴んだ。


《いﾞッ？！》

『ん？』


その手の主は智大。
智大は無言で私のぐしゃぐしゃになった髪を整えて、今度は私の手首を掴んで引っ張った。


『ちょっ？！いきなりどうしたの？ねぇ智大！』

「Aはちょっと静かにしてて」



声の圧に負けて、私は無言のまま大人しく智大に身を任せた。


連れてこられたのは、薄暗い細い通路。
一体何をする気なのかとそわそわしていると、智大は突然私の体の至るところにキスし始めた。



『智大、何して···』

「消毒。さっき有志にベタベタ触られてたでしょ」

『···怒ってる？』

「怒るに決まってんじゃんあんなの。だってあいつ俺のAに触ったんだよ？Aを触っていいのは俺だけなのに···」


そう言ってまだキスを続ける智大。


『···ねぇ、もうよくない？』

「まだ全然だめ。俺の気が済むまでやるから」



彼の胸に灯った嫉妬の火はまだまだ消えなさそうだ···。








(requested by いちごタルト様)

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