選手としてみた、されてみた龍神編【短編集】

青春 Kento.M ページ16

午後4時半。
終業のチャイムが鳴ったと同時に、私はリュックサックを背負ってすぐさま健人のいるクラスへと飛んで行った。


『健人、今度の土曜課外の後空いてる？って言ってもどうせ部活ですよねー、知ってましたー、はーい』

「ちょっと待て、自己完結すんな」

『え？だってそうでしょ？』

「ところがどっこい、なんと今週は珍しくオフです」


オフという単語を聞いた瞬間、頬が緩んだのが自分でも分かった。
マスクで隠れていて見えないはずなのに、思わず口元を押さえてしまう。


『マジ···？！』

「マジ。俺から言いに行こうと思ってたんだけど、Aがこっち来るほうのが早かったな」

『やったぁ！どこ行くどこ行く？！』

「んー···」


健人は少し考えた後、予想だにしないことを口にした。



「Aの行きたいところがいい」

『え？やだなぁもー、遠慮しなくていいんだよ？』

「遠慮なんかしてないよ。俺の行きたいとこはそこだから」

『···ほんとにいいの？』


健人はゆっくりと頷くと、はにかんで笑った。


「Aのことずっと待たせちゃってたし、俺はAが心から楽しんでる可愛い姿を拝めればそれでいいんだ」

『！！』


その言葉が嬉しくて、気を抜けばすぐに涙が流れてしまいそうだった。

それを彼に悟られないよう、私はマスクの下でぎゅっと唇を噛んで昂った感情を必死に抑えた。



『···言ったな？じゃあ土曜日健人のこと好き放題振り回すから、覚悟しときなさい！』

「分かった。楽しみにしてるね」



そう言って健人は目を細めながら微笑んだ。


いつもは退屈で憂鬱な土曜課外の日が、今回ばかりは楽しみに変わった。








(requested by ネオンライト様)

プロポーズ Yuki.I→←ストーカー···？ Tomohiro.O

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