選手としてみた、されてみた龍神編【短編集】

ストーカー···？ Tomohiro.O ページ15

今日はAとの楽しいデート···のはずなのだが、全く楽しめていない。


なんとなくではあるが、さっきからずっと背後から嫌な気配を感じるというか、誰かにつけられている気がするというか···。


正直怖いが、Aを守るためには背に腹は代えられない。
意を決して後ろを振り向くと、遠くのほうで大きなカメラを抱えた人影が見えた。

その姿をじーっと見つめていると、急にこっちに向かって小走りで近づきはじめた。


「？！」


咄嗟にAの手を引いて距離を取ろうとすると、Aは待って、と言って俺の腕を引っ張った。



《···ウルフドックス名古屋公式YouTubeチャンネルです》

「···え？」


カメラを持った男の人は少し息を切らしながらそう言った。
冷静になってよく見てみると、その人はすっかり見慣れたチームスタッフさんだった。



《今回は視聴者の皆様から大好評の、いきなり密着ドッキリ企画第3弾、小川智大選手編でございました》

「もー、マジびっくりした···」

《ちなみにAちゃんはこっち側です》

「はぁ？！」

《まあデートの密着を完全に無断でやるのは流石によろしくないってことでね、チームスタッフ兼智大の彼女であるAちゃんに許可をいただいたうえでやらせていただきました》


Aのほうを見ると、彼女は少し申し訳なさそうに笑った。

そう言われると確かに、Aがさっき妙に冷静だったのも、急に引き止められたのにも合点がいく。



『ごめんね智大。面白そうだったから断れなかった』

「Aめ···、家帰ったら覚悟しとけ？」

『えっ』

「ていうか、企画のこと知ってんなら早く言ってよぉ」

『そんなことしたら企画倒れちゃうよ』

「あっ」









(requested by ノアの方舟様)

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