選手としてみた、されてみた龍神編【短編集】

あまあま Masato.K ページ12

「あーもう、なんでそんなに可愛いの···」


そう言って私のことをぎゅうぎゅうに抱きしめる優斗。

ついこの前今日のデートのためにと思って買った新しい服を着ていったら、集合場所に着くやいなやこれ。

私は恥ずかしくなって優斗の背中をトントンと叩いた。


『あのー、優斗？そろそろ離してもらっていいですかね？ここ人前なんですけど』

「んー、もうちょっとだけ」

『離してくれないとデートしないよ』

「うっ···ごめんなさい」


ちょっとしゅんとしながらも、ようやく離してくれた優斗。犬みたいで可愛い。
そして私のことを上から下まで舐めるように見て、ふわふわとした笑顔を浮かべた。


「ねえ、Aちゃんってほんとに何着ても似合うよね。ずるいなぁー···」

『そう？』

「そうだよ。夏お泊まりしに来たときのオフショルも、この前の花柄のスカートも似合ってたけど、今日のワンピースもめっちゃ可愛いもん」

『あぅ、え、えっと···、あ、ありがと·····』


急にべた褒めされて頭が若干パニックになる。
そして同時に嬉しさがじわじわと心の中に広がった。
私が着てた服、覚えててくれてるんだ、と。

私が必死にニヤニヤを堪えていると、手を握られて彼のほうへとくいっと引っ張られた。


「そろそろ行こっか。今日はAちゃんにいっぱいお洋服買ってあげるからね」

『だめだよ、優斗が欲しいもの買えなくなっちゃう』

「いいの。Aちゃんにお金いっぱい使うのが俺の生きがいだから」



そう言いながら、にっと綺麗な歯を覗かせた優斗。
その少し幼くて柔らかな笑顔にまた心を撃ち抜かれて、思わず目を逸らした。







(requested by あやか様)

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