8. 相澤消太の場合 ページ9
「なんでよ!!相澤先生の嘘つき!!」
「真正面から個性かけるバカがいるか。」
卒業式が終わり、感動の最後のHRが終わったとこで
真っ直ぐ手を挙げた私。
やっと、この日が来た!
そう思って、相澤先生に魅了を発動したら
私の行動の先を呼んだ相澤先生に抹消を発動された。
それで、上の台詞だ。
「ドンマイ、A」
「いや、今のはバレバレでしょ」
三奈ちゃんと耳郎ちゃんに馬鹿にされた。
「もういいか。こんなくだらんことで個性使わすな」
目頭を抑えて、目薬をさした。
今日は卒業式で小綺麗にしているので割増でかっこいい。
そのギャップがズルすぎる。
だいたい、相澤先生の塩対応ときたら、3年間変わらずだ。
1年のあの日以来、胸きゅん展開なんか起こりもしない。
一方的に私がドキドキして翻弄されてただけだ。
あの日のことは、夢だったのかとさえ思える。
「嘘つき、詐欺師、非道、鬼畜、」
ぶつぶつ思いつく限りの悪口を言ってれば
麗日ちゃんと梅雨ちゃんに頭を撫でられた。
「結局、最後まで相澤先生のだけ見れんかったね」
「爆豪ちゃんのも3年始めでようやくだったわね」
「うん、赤よりのピンクだった」
「違ぇ!!真っ黒だわ!!クソ女が!!!」
爆豪くんを揶揄えば、鬼みたいな顔を向けられた。
「結局、A組みーんな、紫以上だったから、私すっごく嬉しかったよ。皆のおかげで、この個性が好きになった。」
ありがとう、とにっこり笑えば
わっと皆が泣いて、女の子達は抱きついてくる。
どさくさに紛れた峰田くんのことは
しっかり梅雨ちゃんが止めてくれた(笑)
「Aに紫以下なんてありえないって」
「大好きだよー!!」
「私も皆大好きー!!」
ぎゅーっと抱き合っていると
相澤先生は呆れたように笑い
しれっと教室を去ろうとした。
「ちょっと待ってよ!!相澤先生!!」
「断る。俺は来年度の準備で忙しい」
嘘でしょ?!
え、やっぱアレは夢だったの?!
慌てているうちに、相澤先生は本当に出ていってしまった。
「行っておいでよ」
ぽんっと背中を押され
三奈ちゃんがニカッと笑ってた。
「うん!今度こそ個性かけてくる!!」
ぎゅうっと三奈ちゃんを抱き締めてから
教室を急いで出ていった。
今日、この日まで
ずっと我慢してきた。
ヒーローになることだけを考えて
やっと、今日この日を迎えたのだ。
絶対、
今日っ、
大好きな貴方の色を見てやる!!
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
