5. 相澤消太の場合 ページ6
「ねぇ、Aって好きな人いるの?」
お風呂上がり、寮の共有スペースで棒アイスを食べてたら
三奈ちゃんが隣に座ってきて聞いてきた。
「…え?」
顔が真っ赤になったのが、自分でもわかった。
「え、嘘!?いるの?!」
三奈ちゃんは、面白いものを見つけたように
キランと目を輝かせる。
ちょっと、待って。
なんで私、相澤先生、思い浮かべてるの?
アイスを咥えて黙っていれば
ガシッと肩を組まれた。
「誰よ?言ってみ?」
三奈ちゃんはニヤニヤそう言うが
私はわかっている。
後ろの席で
上鳴くん達が聞き耳を立てていることに。
「いまふぇん」
「素直になりな、Aちゃん。」
それは、私が先日、麗日ちゃんに言った言葉。
とんだ特大ブーメランだ。
アイスを口から外して、溜息をついた。
「…正直わかんない」
というか、わかりたくない。
だって、自覚した瞬間、失恋した気になる。
相澤先生だよ?
生徒のことは、恋愛対象外に決まってる。
「えー、誰だろ?上鳴と峰田は無しでしょー」
「「なんでだよ!!?」」
三奈ちゃんの言葉に、盗み聞きバレバレで
ツッコんでくる、上鳴くんと峰田くん。
「だって、アンタら…Aにピンクってバレてんじゃん」
三奈ちゃんが冷ややかな目で2人を見た。
そんな会話をうっすら聞きながら
頭では相澤先生のことを考えている私。
そうだよ…相澤先生の色が分かったらいいのに。
でも、あの人は絶対黄色だろうな…
はぁっ、と思わず溜息をついた。
「見れてない、もしくは見たけど紫止まりか?」
三奈ちゃんが、何やら色々推理してる。
「轟?爆豪?切島?瀬呂?飯田?」
なんか色々名前を挙げてる。
まぁ、どうせ当たるわけないんだけど。
無反応な私に
上鳴くんと峰田くんが、何故か大笑いしながら
傍にいた、爆豪くん、瀬呂くん、切島くんを叩いていた。
爆豪くんの怒声が聞こえた気がした。
「あ、まさか、緑谷?だから悩んでんの?」
違うよ、三奈ちゃん。
私は友達の好きな人を好きになったりしない。
「いや、心操くんとか見た目タイプって言ってたか?」
そういや、心操くんって
どことなく相澤先生に似てるなぁ…
だからか…
私って単純…
「ん?先輩の可能性もあるのか?年上好きだっけ?」
年上は好きだよねー…
この前、相澤先生、めっちゃかっこよかったなぁ…
倒れた日の事を思い出して、ほんのり赤くなった気がした。
「あ、これ年上だな」
なんか、いつの間にか範囲絞られてきた気がする。
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
