9.轟焦凍の場合(Final episode) ページ46
赤だった＿＿＿
Aから聞かされて
頭の中でぐるぐる思考を巡らせる。
赤色は確か＿＿＿
顔が一瞬ですげぇ熱くなった。
Aのことは好きだ。
笑った顔はずっと見ていられるし
辛そうにしてたらすぐに助けてやりたい。
声を掛けられるだけで嬉しくなるし
Aが嬉しそうだと口元が緩んでいく…
最近では、他の誰よりも
Aと仲良くなりたいって欲もある。
なんなら、他の男と笑っているのを見ると胸が痛くて…
気付いたら、俺はずっとAを目で追っていた。
「いや、でも、もしかしたら轟くんが愛情深い人で、A組みんなに赤色って可能性もあるし、その…恋愛っていう意味だけじゃないから」
ごめん、変なこと言って＿＿＿
慌てながら、訂正されてしまった。
無かったことにされそうで
それがすげぇ嫌だった。
「いや…みんなじゃない。」
手に触れると、感じたことがない高揚感
欲しい、Aが＿＿＿
「好きだ」
それは自然に口から滑り落ちてくる。
潤んだ瞳が丸くなると
Aは恥ずかしそうに目線を下に向けて
「わ、私も…」
小さく震えた声で同意してくれた。
「焦凍くんが、好き」
大事な言葉は目を見て真っ直ぐ伝えてくれて
赤い顔で笑いながら
俺の名を呼ぶAに愛しさが溢れでる。
「やっぱり俺、Aの赤い顔が好きだ」
「え…」
「もっと見たい」
どうすればもっと見れるのか
本能的にわかっていたのか
それとも単純に欲しくなっただけなのか…
Aの後頭部に手を回し唇を奪った。
予想以上の可愛い顔に
もっと、もっと、と欲張りになっていき
キスをする度に
Aの可愛さと俺の欲は比例して増えていく。
静かな医務室で聞こえるリップ音に
妙な背徳感を覚えた。
「焦凍、くん…っ、待って…っ」
唇にAの指先が触れ止められる。
「医務室…だから、」
正論を言われてしまえば止めるしかない。
リカバリーガールもいつ戻るかわからないし
下手したら、クラスの奴や、先生が来る可能性もある。
Aの、こんなにも可愛い顔は誰にも見せたくない。
でも、正直残念で＿＿＿
ほんの少し不服そうにしてれば
それはすぐ気づかれ、笑われてしまった。
「また、今度して?」
恥ずかしそうに上目遣いで見られ
可愛くて胸がキュッとなる。
ずっと傍で
Aの色んな可愛いを見続けたい。
きっとその度
俺の赤は色濃くなり彼女をまた染めるだろう＿＿＿
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
