8.轟焦凍の場合 ページ45
パッと目を覚ました場所は
真っ白な天井。
「おや、起きたかい?ほれ、ペッツお食べ」
リカバリーガールののほほんとした声。
ペッツを言われるがまま食べれば
頭が正常に働き出した。
あぁ、私は倒れたんだ。
そしてことの重大さに顔から血の気が引いていく。
「わ、わ、私って、じょ、除籍ですかっ?!」
「知らないよ」
リカバリーガールに泣きついたが
塩対応されてしまった。
相澤先生のことだ、あんな理由で倒れたなんて
除籍に決まっている…
「なにか聞いてるかい?」
え、リカバリーガールの他に誰かいる＿＿＿
「いえ。特には聞いてません。」
「と、と、と、とど」
口をパクパクしてしまい
青かったであろう顔に、一気に熱が戻ってくる。
「運んできてくれたんだよ。お礼言っときなさいね」
リカバリーガールはそう言うと
職員室に行くと医務室を後にした。
よりによって、なんで…
轟くんなの＿＿＿!?
「大丈夫か?」
そう言えば轟くんのひんやりした手が額に当てられた。
「真っ赤な顔で倒れたから、熱があると思ったが…大丈夫そうだな」
どきんどきんと胸の音が大きく速くなっていく。
「ご、ごめん!もう大丈夫だから!」
そう慌てて言えば、轟くんは手を退かせて
「そうか、良かった」
と微笑んてくれた。
それにまた、心臓がばくばくと異常になる。
「それと…俺の色って何色だったんだ?」
その言葉に、真っ赤なハートを思い出し
ボンッと私の顔は爆発した。
む、無自覚っ!!??
「あ、あの時の色は…っ!む、む、紫!そう紫だったよ!」
パッと顔を逸らして
つい嘘を言ってしまった。
だって、こんな状況堪えられない…っ
「A…?」
逸らした顔に手を添えられ目線を戻される。
「顔、すげぇ赤ぇ」
どきんどきんどきんどきん
「可愛い…」
綺麗な顔と真っ直ぐで澄んだ瞳に射抜かれ
一体誰が平常心でいられるというのか。
『認めなよ、好きだって』
耳郎ちゃんの声が頭に響いてきた。
「ごめん、本当は真っ赤だった…轟くんの色…っ」
恥ずかしくて直視できず
ぎゅっと目を瞑りながら小さく言葉を出す。
心臓の音だけが聞こえて
轟くんの返事が返ってこない。
チラッと目を開ければ
見たこともない真っ赤な顔をした轟くんがいた。
なにその顔＿＿＿＿
どきどきする。
そっか
この感情の名を
心はとっくに答えを出していた。
認めるよ、耳郎ちゃん。
私、轟くんが
好き＿＿＿＿＿＿
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
