個性魅了の彼女【ヒロアカ】 (ページ34)

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13.ホークスの場合ページ34

「は、速すぎる…」

顔を引き攣らせながら呟いた彼女に

「そりゃあ、俺、速すぎる男って言われてるし。」

言い返したら、キッと目を釣り上げこちらを見た。

「私の実家に挨拶まで済ませて、必要な荷物まで纏めてあって、卒業式の当日に福岡って…少しは我慢できないんですか?!」

…我慢なら、散々したんだけど。

「ごめんねー。早くAとイチャイチャしたくて」

へらっと笑って言えば
可愛らしく真っ赤になる。

「…それで、どこ向かってるんです?」

「俺の家」

一瞬で固まったAちゃんを尻目に
デート気分で空中散歩を楽しみながら家に向かった。

ギクシャクしながらあがる彼女に
吹き出しそうになりながらも
実は俺もドキドキしちゃってる。

「はい、お茶」

「あ、ありがとうございます…」

ソファに座らせてから
カップに入れたお茶を渡せば
微かに震えた手でソレを取り
いただきます、と口をつけた。

うっわ、初々しい。
そう思ってしまう俺はやっぱり穢れてるなぁ…
なんて苦笑いしながら隣に座った。

「あ、心配しないで。取って食ったりしないから。」

安心させようとした言葉にも
彼女は真っ赤な顔で固まった。

そんなに緊張されると、こっちまで伝染してきて…
静かな部屋に心臓の音だけが聞こえてる気がした。

「その、やっぱり、付き合った初日に家っていうのは…」

やっと開いた口から出た言葉は、若干震えている。

「でも、想いを伝えてからは2年経ってるよ」

そう。この2年、長かった。
これでも彼女は学生だから我慢したのだ。
キスですら、今日初めて。

それは、色々な大人達から
くれぐれも学生のうちは手を出すな、と釘を刺されたから。

なのに、Aちゃんは日に日に可愛くなってくし…
同級生達とは距離感おかしいし
正直、いつも焦っていた。

そんな思いも今日が最後。

彼女の手からカップを取り机に置けば
緊張で潤んだ瞳を向けてくる。

「ホークス、」

そう呼んだ唇を塞いだ。

「啓悟、」

唇をゆっくり離し
鼻先が触れる距離で止めて言う。

「2人の時は、啓悟って呼んで」

俺がそう伝えれば、意図を汲み取ってくれたのか
恥ずかしそうにしながらも愛しそうに呼んでくれた。
しかも、おまけ付きで。

「啓悟、だいすき…」

こんな可愛い彼女を前に、止まることなんか不可避で

ちゅっ、ちゅっ、と何度も何度も夢中で唇を合わせる。

どんどん甘くて深いものになったそれに

俺は文字通り、虜になっていった。