12.ホークスの場合 ページ33
「卒業おめでとー」
「きゃー!!ホークスだ!!」
卒業式が終わり、ヒーロー科の皆と
外で写真を撮ったりしていたら
ふわりと前より少なくなった赤い羽を広げ
私の前に降り立った。
「え、今日?」
驚いて目を見開いていると
ホークスはにっこり笑い
目の前に花束を差し出してきた。
「最短速度でお迎えにあがりました」
だめだ。
この人には、本当に、魅了の個性を持った私のほうが
魅了されっぱなしだ。
きゃー!と周りで三奈ちゃん達が叫んでいて
峰田くん達の悲鳴が聞こえてきて
A組もB組も皆揃っていて、先生達までいるのに…
真っ赤になり緩んでるであろう私の顔を
受け取った花束で隠した。
「もう、皆とお別れすんだ?」
「もう大丈夫ー!持ってっていいよー!ホークス!」
私の代わりに三奈ちゃんがニヤリと笑って言う。
「ちょっと、三奈ちゃん!!」
「ありがと、ピンキー」
私の制止を無視して
ふわっと抱き抱えてきた。
「あ、ツクヨミ、4月から待ってるよ」
「御意。ホークス、程々に。」
「いや、それは約束できない」
常闇くんは4月からホークスの事務所のサイドキックになる。
ちなみに、私も。
てか、程々にって何?!
ぽけっとしていたら
爆風と氷が飛んできて
ホークスがそれを躱して飛んだ。
「危な!Aちゃんに当たったらどうすると?」
「んなもん避けきれねぇ奴に渡すかよ!!」
「同じく。まだ認めてもいねぇ。」
爆豪くんと轟くんが何やら不穏な雰囲気。
3人からバチバチ火花が飛んでる…
「いやー、子供相手に大人気ないけど…この子だけは、渡す気ないんで。」
ホークスが挑発するように笑えば
「No2の癖に俺らのアイドル誘拐してんじゃねー!」
峰田くんまでモギモギ投げてきて
「卒業式くらい、俺らに時間貰えますかー?先輩っ!」
瀬呂くんもテープを飛ばして捕まえようとしてくる。
「Aちゃんモテモテやぁー!」
麗日ちゃんがキラキラした目で言ってるが
私はホークスの腕の中で怯えていた。
だって、相澤先生が溜息をついて
物間くんを呼んでいる。
絶対抹消発動させる気だ…
「ちょっと皆注目!!」
大きな声で叫べば
皆が私を見てくれて、あたり一面に
紫やピンクや赤いハートが現れた。
「ホークス以外は目瞑ってて」
指示を出せば、全員成すすべ無く目を潰る。
「…拐ってもよか?」
「ん。待ってた。」
頷き笑えば
ホークスも優しい顔で笑い
どちらともなく唇を重ねた。
今日から私は
この人のものになります。
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
