3.ホークスの場合 ページ24
「可愛いってだけじゃこの先大変だよ?」
厭味のつもりだった。
実際、ヒーローなんてもんは
見てくれがいいだけじゃやっていけない。
そしたら、30までに引退するとか言い出すし
なんなら、それまでに結婚して記者会見まで考えている。
え、この子、ヒーローになりたいんだよね?
呆気にとられていると
彼女はにっこり笑った。
「でも、そうするためには…30歳までに私の個性で青や黒が殆ど見えない世界…、ぬるま湯みたいな、あったかーい世の中にします。」
ぬるま湯という例えが合ってるくらい
この子の雰囲気がぽわぽわしたものに変わった。
「私は、ヒーローが…人並みの幸せを感じることができる、そんな温かい世界にしたいんです」
ヒーローが幸せな世界は＿＿＿
絶対平和な世の中だから。
「その先陣を私が切るんです。私がめーいっぱい幸せになって、皆も幸せになっていいんだよーって教えるんです!」
ふふふ、と花が咲いたように笑う。
常闇くんは呆気にとられているが
俺は、今初めて、彼女に魅了された気がする。
彼女の考えは、言葉や捉え方は違うけど
俺の理想…
『ヒーローが暇を持て余す世の中』と似ている。
なんか…
俺の悪い癖が出てきそう。
「へぇ…、それでAちゃんの旦那様候補はもう見つけているの?」
にっと笑ってそう聞けば
Aちゃんは眉間にシワを寄せた。
「そんな簡単に見つかりません!一生のことですから!」
どこかにいないかなー…
轟くん並にイケメンで
相澤先生みたいに優しい大人で
校長先生並の財力持ってて
オールマイトみたいに強い人。
なんて、物凄く高い理想を呟いている。
いや、下2つはかなり難しくないか?
「そんな奴、存在しないぞ。むしろ、それって最早オールマイトじゃないか?」
常闇くんがツッコむと、Aちゃんはケラケラ笑った。
「オールマイトと私じゃ年齢差やばいでしょ!でも、話題性はあるね!」
そんなふうにキャッキャしているとこに
1つ爆弾を投下してみる。
「Aちゃん、俺は?」
にっこり笑って首を傾げれば
常闇くんは驚いていて、
当のAちゃんはキョトンとしていた。
「ホークスはただのイケメンでしょ?1つしか該当してないじゃん」
爆弾投下のつもりが、こっちに被弾してきた。
え、俺、一応No.3なんだけど…
「大体、何が悲しくて黄色と結婚しなきゃいけないんですか?」
冷ややかに見てくるAちゃん。
しまったな…
あの時、やっぱり見せなきゃ良かった。
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
