個性魅了の彼女【ヒロアカ】 (ページ3)

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2. 相澤消太の場合ページ3

「相澤せんせ、相澤せんせっ!」

「なんだ、魅川」

「聞いて聞いて!私、ホークスを紫にしましたー!」

ばんざーいと手を上げて喜びながら報告してくる。

個性魅了の生徒を持つ担任としては
褒めるのが正解なんだろうが…

正直、聞いていてあまり良い気分ではない。

「それでね、ホークスがね、私は人に好かれる才があるって!だからね、」

にっこり笑って見てくる。
嫌な予感がした。

「相澤せんせ、色見せて」

首を傾げて、お願いポーズをする魅川。

「お、なんだ魅川!そんな、可愛いお願いしてくれんなら、俺の見せてやろーか?」

マイクがニヤリと笑って入ってくる。

「えー!マイク先生、紫なの知ってるもん!」

いや、知ってるのかよ。

マイクをじとっと見れば
焦ったように視線を自分のデスクに戻した。

「あのな、魅川。そんなふうに頼んできても、訓練は付き合わん」

「えー!けち!」

「そんなことより、さっさと下校しろ」

「相澤せんせ、そんなことよりね…」

そんなことを返された。

こんなとこに何時までもいるんじゃなくて

同級生達と寮で仲良くしてりゃぁいいのに。

「みてみて、この猫」

スマホの画面には、魅川が黒猫を抱っこしてる写真。
いや、どっちも可愛いけども…

「この猫、相澤先生に似てると思いません?」

ふにゃっと笑う魅川。
その画面をマイクも覗けば、後ろで爆笑しだす。

「ちょー似てる!!」

「でしょー!これね、ホークスに連れてってもらった島にいた猫なんです」

バシバシ肩を叩いてくるマイクと
魅川の話に出てくるホークスの名にイラッとしてしまった。

「この猫見てたら、相澤先生思い出して、帰りたくなっちゃった」

えへへと可愛いらしく首を傾げながら笑う魅川。
マイクが「OH…」と額に手を当て息を漏らしたのと同時
俺も溜息をつく。

コイツはそういう言葉が、簡単にすべり落ちてくる。

人に好かれる才とか言えば聞こえはいいが…

つまりは、あのホークスですら
可愛らしい仕草や言葉に魅了されてしまった、
ということだろう。

「ねー、こーんな可愛いこと言う生徒なんだから、相澤先生の色、紫にはなってるよね?」

紫どころか…

顔を逸らしてデスクに向かい仕事を再開した。

「…早く帰れ」

「塩!相澤先生だけは本当塩すぎ!」

どうやったら紫になるんだろ…
なんて、ぶつぶつ言いながら魅川は帰っていった。

「紫以上だったりして…な?相澤?」

ポンと手を肩に乗せてきた山田に裏拳を食らわせてやった。