8.爆豪勝己の場合 ページ20
「あのな、爆豪。」
相澤センセーは溜息をつきながら、此方を見る。
「恋愛するなとは言わねぇが、場所を考えろ」
普通に説教された。
「ん。」
ムスッとしながらも頷く。
それにセンセーは意外だったのが、若干目を見開いた。
「で、付き合ってんの?」
その後ろで、プレゼントマイクがニヤついて聞いてくる。
「あ゙?付き合ってねーよ」
それに2人とも、目を見開いて固まった。
あ、返答間違えたなコレ。
「だったら、余計ダメだろ」
「そりゃねーわ、爆豪」
なんで、先公にこんな言われなきゃなんねーんだよ。
くそ、面倒くせぇ。
「いいか?そういうのは、付き合ってから。あくまで健全に場所を考えてだ」
ものくそ溜息をつかれて
ド正論を言ってきやがる相澤センセー。
「アイツがクソ鈍感たらし女じゃなきゃ、俺だってこんなことしてねぇわ」
「はぁぁぁぁっ?!ちょっと、たらし女ってどういう意味?!」
くっそ、タイミング悪ィ…
目が釣り上った。
「あ゙ぁ?!そのまんまの意味だわ!!そこら中のモブ共に色目使いやがって尻軽女が!!」
「はぁぁっ?!色目ってなにさ?!つーか尻軽じゃないから!!」
「アホ面のことも部屋に入れやがっただろ?!だから尻軽だっつっとんだ!危機感をちっとわ持てやバカ女!!」
言った分だけ、泣きべそ顔になってくのはわかったが
ヒートアップしちまって止んねぇ。
「お前ら、ここどこかわかってんのか?」
資料室の時と同じ顔で
3人の先公達が見てきた。
「だって、爆豪くんがっ…」
ついに泣き出したAに、罪悪感が出てくる。
そのAの頭をポンポンと撫でる相澤。
それにすらイラッとする。
触んなや。
睨みつければ、それが伝わったのか
また呆れたように溜息をつかれた。
「爆豪、素直にならねぇと、横から掠め取られるぞ」
「わかっとるわ!!クソ変態教師が!!」
Aの腕をとり、グズグズ泣いたまま
引きづって職員室を出た。
校舎を出て、寮までの道を進んだあたりで
震えた声が後ろから聞こえた。
「爆豪くんの、ばか…っ」
「るせぇ…」
「私、尻軽じゃないもん…っ、」
あー、もう、言い方しくった…
そう思ってたら
「だって、あれ、ファーストキスだもん…っ」
足が思わず止まってしまった。
まじか。
「爆豪くんで、ちょっと良かったって、思ってたのに…っ」
まじか。
「爆豪くん、なんで…っ、キスしたの…っ?」
なんでって、
そんなこと、わかりきっている。
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
