6.爆豪勝己の場合 ページ18
ガチャッとドアが閉まる音を聞くまで
私は放心状態だった。
えっと、ちょっと待って。
爆豪くん、普通に出ていったけど
どういうこと?
あれは、キスなんだよね?
本人もそう言ってたし。
え、なに勝手にしてんの?
しかも、あんなのがファーストキスとか嫌なんだけど。
そもそも、爆豪くんって、私のこと好きなの?
「よく、わかんなぁーい!!」
ベッドにダイブして、足をバタバタした。
でも、そんなに嫌じゃなかったな…
そのままベッドで考えていたら、いつの間にか朝だった。
「嘘でしょ?!」
「それはこっちの台詞だ」
教室をガラッと開ければ
鬼のような相澤先生と
呆れたような顔をしたり
バカにしたように笑う級友達の姿。
HRはもう始まっている。
「…えへ」
「…反省文でも書くか?」
「申し訳ございませんでした。」
とびきりの可愛い顔で首を傾げても
そこは相澤先生、まったく靡かず。
ぴしっと謝れば、今回だけだぞ…と
溜息をつきながら許してくれた。
あー、もうやだやだ。
しかも私の席って、この人の後ろなのに。
「ばーか」
席につく前に遅刻した大元の原因
爆豪くんと目が合えば
口パクで言われた。
ほんとっ、むかつく!
ムスッとしながら、席につく。
爆豪くんの後ろ姿が揶揄うように笑ってるみたいで
思わず顔を机に伏せたら、寝ると勘違いされ
相澤先生に今度こそ処罰を下された。
「最悪だ、最悪」
放課後、居残り掃除をさせられている私。
ぶつぶつ文句を言いながら資料室の掃除をしている。
いつもは皆、無駄に絡んでくるくせに
こういう時は誰も手伝おうとしてくれない。
「大体っ、誰のせいだと思ってんのよ!!」
「へー、誰のせいだよ」
「一人しかいないでしょ?!爆豪…っ!?」
ニヤニヤ笑いながら、その人が
資料室のドアにもたれていた。
「俺のせいで遅刻なァ?」
な、なんで私の心臓はこんなにもドキドキ鳴るのか。
「つまり、ずっと意識しちゃってたわけだ?」
「なっ?!違うから!あんなのノーカンだから!」
「はぁ゙?!テメェそれ本気で言ってんのか?!」
そう言えば鬼みたいに睨みつけて此方に向かってきた。
こんな爆豪くんが、私に対してピンクなわけがない!!
殺意でも向けられてそうな勢いに
ただ後退りしかできない私。
トンっ、と背中が資料棚につくと
ガタンと棚が大きく揺れて
一番高いとこにあった箱が落ちてきた。
あ、やばいかも…
「チッ、バカが!!」
聞こえたのは舌打ちと暴言だった。
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
