4.爆豪勝己の場合 ページ16
「おい、クソ女、面かせや」
寮の共有スペースでくつろいでいれば
爆豪くんに話しかけられた。
「え、それは…愛の告白をする気なのか、私を殺す気でいるのか、どっち?」
「どっちでもねぇわ!!!」
めちゃめちゃ怒られた。
「だって、わかりにくいよ!殺す雰囲気の顔で言ってくるんだもん」
ムスッとしながら爆豪くんに聞く。
「だいたい、どこに行くのさ。」
「テメェ、昨日貸した俺のノートの存在忘れてんだろ」
…?
…!?
…!!!
「あ、ごめーん」
てへっと可愛らしく言ってみたが
爆豪くんの目は鬼のままだった。
「二度と貸さねぇ」
「本当にごめんなさい。爆豪様、それだけはご勘弁を。」
土下座に変えた。
それはもう誠心誠意謝りたおした。
「うぜぇ。早く取りいくぞ。」
部屋に連行される私。
やっぱ殺す気なのかもしれない。
なんて、馬鹿なことを考えながら
自室に爆豪くんを招き入れたとこで
私はピンときた。
「あ、爆豪くん、ついでにゲームしよ?」
「しねぇわ。ガキかよ。」
「ははーん、負けるのが怖いんだね」
「あ゙ぁ゙?!テメェに俺が負けるかよ!!」
まんまと煽りが成功して
二人で某有名レースゲームをする。
「私が勝ったら、個性使わせてね」
「…俺が勝ったら、何くれんだよ」
考えてもみなかった。
だって、私勝つに決まってるもん。
この前、上鳴くん達にも勝ったし。
「んー、何が欲しい?」
「…テメェ」
青ランプになりピーッとスタートの合図が鳴る。
爆走する爆豪くんのカートに比べ
私はボタンを押せず…
目を見開いて爆豪くんを見た。
え、聞き間違え?
困惑してれば、ニヤリと横目で笑われた。
あぁ、これは揶揄われたのだ。
「っ、ズルい!!!最低!!!」
気を取り直してスタートしたが…
そんなことは後の祭りてある。
もちろん、私は惨敗した。
「はっ、テメェが俺に勝てるわけねぇだろ」
「…卑怯っ!!」
私はただ、これに乗じて
爆豪くんの色を知りたかっただけなのに!!
「で、くれんのかよ?」
「あげないよ!?名前もまともに呼んでくれない奴に!!」
ぷんすか怒りながら言えば
爆豪くんは、じいっと私を見て
「A」
と口を動かした。
どきん
感じたことがない胸の高鳴り。
なに、これ。
じりじりと迫ってくる爆豪くんに
思わずぎゅうっと目を閉じれば
「ノート返せや」
おでこに衝撃がはしり
目を開けると、心底愉快そうに笑う爆豪くんがいた。
なんだ、デコピンだったのか…
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
