1.爆豪勝己の場合 ページ13
食堂で飯を食っていると
一際目立ったアイツを見つけた。
「お、Aだ。やっぱ目立つなー」
「それな。まじ可愛い。」
「あ、声かけられてる。」
醤油顔とアホ面とクソ髪もソイツを見つけたようだ。
ソイツは、モブに話しかけられたかと思えば
にこにこ手を振って、トレーを持ちながら歩いてくる。
くそモブなんか相手してんじゃねぇよ…
なんて思っていたら、俺らが座っている席で止まった。
「ねぇ、爆豪くんって、人を好きになったりできる?」
で、これだ。
人が飯食ってる時に。
そいつの言葉に、一緒の席についていた
クソ髪、アホ面、醤油顔は一瞬しぃんと固まるが
すぐに涙を浮かべるほど爆笑しだした。
「無理だってA、爆豪が人好きになるって…ひぃー」
アホ面がアホ面で爆笑してやがる。
クソむかつくな。
「どうした?A。爆豪に個性かけようとしてんの?」
醤油顔が聞けば、女は眉間にシワを寄せた。
「だって、爆豪くん、いっつも怒ってるから。何色か逆に気になっちゃって。」
そう言えば、女はじぃっと俺を見つめてくる。
「視線がうるせぇ、クソ女。テメェなんか黒だわ」
言い捨ててやれば
そいつは顔を引き攣らせた。
「うっわ、傷ついた。ねぇ、黒の意味知ってる?憎悪だよ。」
「あってんだろ」
「最低だよ!最低!クラスメイトに向かって憎悪って!」
「うるせぇんだよ、テメェは!飯がまずくなる!」
「はぁー、傷ついた。」
そう呟きながら、当たり前のように隣に座ってきた。
それを誰も咎めたりしない。
むしろ、あいつら3人共嬉しそう。
「何色が一番嬉しいんだよ?」
クソ髪が聞けば、女は少し考えて
「そりゃあ紫だよ。まぁ、ピンクも悪い気はしない。」
そう答えれば、手を合わせて、飯を食い出した。
一つ一つの所作が上品な奴…
と思っていれば、他の3人もキメェくらいに顔を緩ませて
それを見ていた。
「でもさ、Aなら、ほとんど紫以上だろ。」
アホ面が聞けば、ソイツは顔を顰める。
「いんや。偶に黄色以下いる。それを見つけるのが楽しみであり、怖いなぁとも思う。」
そう意味深に言えば、俺を見てから
ふふふ、と笑った。
「だから、爆豪くんが何色か気になっちゃった」
「…黒だっつっとンだろ」
「無理やり見るのは気が引けるし、訓練だと絶対爆炎起こすんだもんなー」
爆炎起こすに決まっている。
ぜってぇ見られてたまるか。
ニヤニヤ笑ってるアホ面達が最高にムカついた。
2.爆豪勝己の場合→←10. 相澤消太の場合 (Final episode)
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
