10. 相澤消太の場合 (Final episode) ページ12
「相澤せんせ」
「…いい加減、先生ってやめろ」
卒業して、1年経とうとしているのに
コイツは今だに俺を先生と呼ぶ。
「えー、でも癖になっちゃって。それに…」
ソファで並んで座ってたのに
ごろんと俺の膝に転がり見上げながら言ってきた。
「相澤先生と付き合ってるんだーって、呼ぶ度に嬉しくなるんだもん」
…可愛い。
頭を撫でれば、猫みたいに嬉しそうに顔を緩めた。
たまらなく可愛い。
なんだか甘やかしたくなってきた。
まぁ、このままでもいいんだが
ちょっとやりにくい。
「A、膝乗れ」
「乗ってるよ?」
「そうじゃなくて」
おいで、と手を上下させれば
意図を読み取ったようで…
Aはほんのり頬を染めて
身体を起こし、俺の膝に跨がって乗ると
首に腕を回してきた。
「相澤先生、この体勢好きだよね」
「色々やりやすいからな」
ニヤリと笑って言えば、どちらからともなくキスをする。
一回してしまえば、何度も何度も欲しくなってしまい
その度、角度や深さを変えてキスを繰り返す。
静かな部屋に
リップ音と荒くなった呼吸音だけが響いてきた。
「A、こっから先は、"先生"禁止だからな」
「ん、しょーたさん…っ」
とろんとした顔で名を呼べば
始まりの合図で…
Aの身体を抱き抱えベッドへ向かった。
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「ねぇ、相澤せんせ?」
「お前なぁ、終わった瞬間呼び方変えるなよ…」
情緒もくそもねぇ。
終わったといっても、2人でまだベッドの中にいるわけで
先生と呼ばれると、妙な罪悪感に包まれる。
顔を顰めた俺をよそに
Aは「ふふふ」と可愛いく笑って抱き着いてきた。
「相澤せんせ、今何色?見ていい?」
「…んなもん、見なくてもわかるだろ」
呆れながら言えば、Aは不服そうに口を尖らせる。
「愛情確認だよ」
「それなら今したばっかだろ。なんならもう一回するか?」
くるっと体勢を変えて、Aの上になり見下ろすと
真っ赤な顔でおろおろしだす。
「そ、そういうことじゃなくて!」
「なんだよ」
と言いながらも触れるだけのキスを落とした。
「俺はずっと、Aに魅了されてるよ」
「っ、大好き!しょーたさん」
「よし。じゃあ、もう一回するか」
「違っ…今のはそういうことじゃ…っ!んっ、あっ…」
お前が初めて
『相澤せんせ、色見せて』
そう言ってきた、あの日から…
そして、これから先もずっと…
俺は、Aに魅了され続ける＿＿＿＿
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作者名：chieko | 作成日時：2024年3月6日 15時
