27話：言えない二文字 ページ27
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西平柚季は、アラームの振動が嫌いだ。
それは、何にも縛られない自由な時間を壊すから。
逃げようとした現実を、突きつけてくるから。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
うっすらと覚醒し始めた意識の遠いところから鈍い振動が左の脇腹の近くに伝わってくるのを感じた。
ぐだぐだと布団の中で額をこすりつけるようにしてようやく目が覚めたところで、右手で左手の辺りを探るとスマホが手に当たる。
あいにく、柚季はドライアイで、寝起きのまぶたは目に接着剤で貼り付けたかのにように剥がれない。
そんな乾燥して開かない目を無理やり開けてスマホの電源を入れた瞬間、鋭い光が目に刺さり、つい顔をしかめるが、それでもぐっと目を細めてなんとか見ると、画面が昨日の夜(正確には0時を回っているため今日だが)のやりとりのまま止まっているのが分かった。
どうやら、どう返そうか悩んでいるうちに眠ってしまったらしい。
寒さに耐えながら布団から這い出ると、ぐちゃぐちゃのまんまのその上に膝を折って座り、ふー、と息を鼻から深く吐き出してスマートフォンを構えた。
しかし、一文字目を何度押しても、押した回数だけ消去ボタンも押してしまうのは一体なぜだろう。
ひとことを、たったひとことを打って送信ボタンを押すだけなのに、どうしてそれができないんだろう。
どうして、私はたった二文字を伝えられないんだろう。
『送っ、ちゃっ…た』
私は、アラームの振動が嫌いだ。
静かに鈍く、意識が覚醒する感覚が嫌いだ。
それは、彼との思い出を呼び起こすから。
彼の不器用な気遣いを思い出すから。
それはいつまでも、私の胸を甘く締めつけて離してはくれないから。
手元のスマートフォンの画面に浮かぶ、"ごめん"の三文字が、彼を拒絶してしまったことをただ無機質に示していた。
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かるうら(プロフ) - トトさん» トト様、ありがとうございます！続編は出すつもりではありますが、もう少しお待ち下さいませ！ (2020年8月28日 19時) (
レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
トト - 一章完結おめでとうございます！お疲れ様です！一章、ということは...? 続編期待しています！ (2020年8月26日 14時) (レス) id: 334c29dcb4 (このIDを非表示/違反報告)
かるうら(プロフ) - ポルさん» ポル様、泥沼希望ですね。承りました。笑 樹くんには、男を見せてもらいましょう！リクエスト(になるのかな？)ありがとうございました！ (2020年7月27日 3時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
ポル(プロフ) - ぜひ裏話読んでみたいです！そして可能なら泥沼希望で。笑樹くんにはオタクから成り上がってほしいです！ (2020年7月26日 3時) (レス) id: e5a0f78b99 (このIDを非表示/違反報告)
かるうら(プロフ) - 黒さん» 黒様、こちらこそありがとうございました！より楽しんでいただけるように頑張ります！ (2020年7月26日 2時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
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