Sweet Melody~彼との甘い日常~【歌い手】

・ ページ40

A side



『⋯⋯と、なるからで、この時の心情を比喩にすることで⋯⋯。』




今は、今日最後の国語の授業。
⋯⋯ちょっとだけ、いや、かなりクラクラする。
お弁当を作るのに夢中で朝食を抜かしてきたのと、作ったお弁当不味くなかったかなって思うのと、次のテストの答案作らなきゃと言うのと、感情がごちゃごちゃになって、しんどい。


チャイムがなり、生徒たちは次々に帰っていく。
明日は幸いなことに休みだし、すぐ帰ろう⋯⋯。



職員室に続く廊下を壁伝いに歩いていくと、
目の先に、あらき先生がいた。
なんで、今日は5時間で終わりなんじゃ⋯⋯



あら「あ、A先生！！」

『あ、らき⋯⋯せん、せ、い⋯⋯』

あら「え！？A先生⋯！！？」



何、幻覚⋯⋯？幻聴⋯⋯？
私はそこで意識を手放した。









あらき side




悪いことしちゃったな⋯⋯。

オレはA先生の空になった弁当箱を持って、職員室で待つ。
本当は、5時間上がりだけどこんなことをしておいてもらって先に帰るのは申し訳ない。
先生が終わるまで待って、お礼をしよう。

⋯⋯って言っても、薄々気づいている。
自意識過剰とかじゃなくて、たまたま保健の桃花先生と通り縋った時に全て聞いた。

⋯⋯美味しかったな。


6時間目のチャイムがなった。
A先生は何事も早いから、直ぐに降りてくる。
けど、この時に限ってなかなか降りてこなかった。

あら「⋯⋯どうしたんだ。」



職員室を出て、階段の方向を見ると、
A先生の姿が見えた。


あら「あ、A先生！」

『あ、らき⋯⋯せん、せ、い⋯⋯』

あら「え！？A先生⋯⋯！！？」






すると、ふっと力が抜けたようにA先生は
その場に倒れた。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す