ﾟ+15 ページ17
次の日。
Aを除いた全てのクラスメートが、早朝に登校してきた。
皆が、誰も座っていないAの席をただ見つめて黙っている。
そのまま何分たっただろう。
俺達が早く来すぎたというのもあるが、Aはなかなか学校へやって来なかった。
「Aって、最近何時に登校してたっけ。」
「…知らねぇ。
業は？分かるか？」
中村と前原が言った。
はっきり言って、俺も全く分からなかった。
俺とAがまだ付き合っていた頃、2人で乗っていた時間の電車には乗っていない、ということだけ確かだった。
静かに首を横に振る。
中村が、やっぱりか、とため息をついた。
その時、教室の扉が開いた。
皆が一斉に注目した。
Aが立っていた。
彼女はただ立っていた。
何の感情もなかった。
何の意志もなかった。
ただ、自分の席へ向かって1歩を踏み出していた。
自然に声がこぼれた。
「…A。」
自分でも驚く程に弱々しい声だった。
Aがゆっくりとこちらを見遣った。
「…業。何。」
何を言うか、全く考えていなかった。
つい呼んでしまっただけだから。
ただ、謝らなければならないと。
そう思った。
「ねぇ、A。
今までごめん。本当にごめん。」
Aは黙って俺を見ている。
俺は目を合わせるのが怖くて、顔を伏せていた。
「許されることじゃないって分かってる。
でも、ごめん。
Aに、酷いことした。
ごめん。」
言葉がなかなか出てこなかった。
これ以上、何を言えばいいのか分からない。
俺は、Aの言葉をまった。
ほんの数秒の沈黙が、凄く長く感じられた。
「うん。」
俺は、顔を上げた。
Aの目を見た。
「それで？」
Aの目には、何も映っていなかった。
「結構どうでもいいんだけど。
何故、謝って来たのかが不思議。」
目には、何の感情もなかった。
「ああ、そっか。許して欲しいのか。
ごめんね。全然分からなかったや。」
Aは子首をかしげた。
「でも、もう私に君は必要ないよ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
栞 - すごくいい作品でした (2018年10月1日 0時) (
レス) id: fc94cb1f8d (このIDを非表示/違反報告)
ハヤテ - 号泣したー 。・°°・(＞_＜)・°°・。 (2018年7月25日 16時) (レス) id: f0adf48f80 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 神作品やー！！ (2018年4月15日 11時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - 実際泣いた…裏切り小説の中で一番泣ける話…高評価付けるしかないよ…身内起きるから大声で泣けない…(泣) (2017年8月5日 4時) (レス) id: 29db77e580 (このIDを非表示/違反報告)
黄龍 - うぅ...泣ける...！私が涙もろいだけかもしんないけど、裏切り系を最後まで読むと必ずと言って良いほどの確率で泣く。すごく良いお話だったと思います。 (2017年2月24日 2時) (レス) id: 2b59e0c15f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：osaga | 作成日時：2017年1月18日 21時
