ﾟ+12 ページ14
約束どおり、放課後に親子は学校まで謝りに来た。
優しそうで真面目そうな母親と、少し気の弱そうな少女。
まあ、謝りに来ているのだから、気弱に見えるのも無理はないか。
「ごめんなさい。勘違いしてしまって。
私が1人でドジしてしまっただけなのに…」
「いいんですよ。
階段から落ちるような怖い思いをすれば、パニックになってしまうのも分かります。」
少女は宮岡ナコというそうだ。
宮岡さんは、私が何を言っても謝り続けた。
はっきり言って、少し面倒くさい。
だから私は、新しい提案をした。
「宮岡さん。
私と友達になってくれませんか？」
私の言葉に、目を見開く宮岡さん。
形のいい唇から、小さく声がもれた。
「友達になりましょう。
それでいいじゃないですか。」
「……いいんですか？」
「もちろん。
私のことはAって呼んでください。
タメ口でいいよ。」
宮岡さんは少しためらった後、笑顔を浮かべて答えた。
「ナコって呼んで！
ありがとう。Aちゃん！！」
その後、SNSのIDを交換して、宮岡親子は帰っていった。
面倒くさいから友達になっただけだけど、私はナコを大切にしようと思った。
彼女と私は、縁があって知り合えた仲なのだから。
その縁が事故という形であっても。
宮岡親子の背中を見送って、私は校舎に戻ろうとした。
烏間先生に声をかけられた。
「君は大人だな。」
私は少し意味が分からなかった。
「あんな対応、なかなかできるものではない。」
「……。そんなことないですよ。
少し面倒くさかっただけです。」
「でも、君は彼女を友達として大切にするだろう？」
「さあ…ね。」
頬にあたる風は少し冷たかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
栞 - すごくいい作品でした (2018年10月1日 0時) (
レス) id: fc94cb1f8d (このIDを非表示/違反報告)
ハヤテ - 号泣したー 。・°°・(＞_＜)・°°・。 (2018年7月25日 16時) (レス) id: f0adf48f80 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 神作品やー！！ (2018年4月15日 11時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - 実際泣いた…裏切り小説の中で一番泣ける話…高評価付けるしかないよ…身内起きるから大声で泣けない…(泣) (2017年8月5日 4時) (レス) id: 29db77e580 (このIDを非表示/違反報告)
黄龍 - うぅ...泣ける...！私が涙もろいだけかもしんないけど、裏切り系を最後まで読むと必ずと言って良いほどの確率で泣く。すごく良いお話だったと思います。 (2017年2月24日 2時) (レス) id: 2b59e0c15f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：osaga | 作成日時：2017年1月18日 21時
