【d!】軽く病むくらいが丁度いい。【合作】 (ページ28)

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「…覚え…て…？」

その言葉の意味自体は分かるのだが、何を覚えていないのかがわからない。

目をぱちくりとしていると、彼がフッと笑った。

「まぁ、仕方ないよね。まだAが小さかった頃だし。」

10年前…5歳の頃かな？なんて言いつつ、けれども私が距離を取ろうとすると詰めてくる彼。

そして、ふと首にかけていたネックレスに彼が触れた。

「…約束、したでしょ？15歳になったら俺のところに来てくれるって。」

ネックレスは消えてしまったが、確かに思い出した…いや、思い出してしまった。

ガシッと両肩を掴まれて、優しかったはずの彼の笑みを再び見る。

「神隠し、なんていうけどさ。…別に隠されてるものが一つなんて限らないんだよ？」

そっとおでこに唇を落とされ、そのままゆっくりと私の意識はフェードアウトしていった。

ねぇ、知ってる？

この町の裏山の1123段の石階段の神隠しって。

確かそれで行方不明者も出てるんだってさー。

え？なんで1123段も石階段があるのかって？

そんなの知らないよ…私じゃなくて他の人に聞いてくれない？

にしても、神隠しってあるのかな＿＿＿＿？

神が隠すのは果たして人間だけなのか?