人間と妖怪とあやかしと。 (ページ10)

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第十話ページ10

「なんじゃ、これは…」

あちこちに漂っているどす黒い妖気。おかしくなっている妖怪たち。今にも崩れてしまいそうな古い結界。

この孤島がこんなことになっているとは。

『中に封印されているのは狂骨…？どうりであんな強い妖気を感じたわけだ…』

にしても、こんなに騒がしい妖怪たちを見るのは初めてだ。

………それに混じって、何か声が聞こえるような…

ーーーーーーー「ぐ…っ…やめろ…！！」

あれは…

『水木さん…⁉︎もしやここまで追いかけてきたの⁉︎』

私たちのことをお人好しだと言っていたが、これじゃ水木さんのほうがとんだお人好しだ。
おそらく、船を漕いでいるところを見られたのだろう。

「…助けるぞ、A。人間がここにいてはまずい。」

『！…珍しいね。どういう心境？』

「……憐れみをかけた。それだけじゃ。」

『…そっか。』

まさかゲゲ郎の口から人間を助ける、という言葉が聞けるとは。
理由はともかく、少し口元がゆるむ。

『行こう、ゲゲ郎。水木さんを連れて一時退散だ。』

「承知。」

そう言葉を交わして水木さんの前に飛び降り、暴れる妖怪たちを止める。

ﾄﾞｶｯ！！！！！

ゲゲ郎が大百足を素手で止め、投げる。
流石の幽霊族だ。身体能力は申し分ない。

「しっかりせい、水木！！！」

水木さんは…まだ立ち上がれなさそうだ。

『ゲゲ郎、先に行ってて。惹きつけとくから。』

そう言ってゲゲ郎と水木さんを先に行かせておく。
私だってあやかしだ。幽霊族までとはいかないが、そこそこ頑丈だし、運動神経も悪くない。

妖怪たちの攻撃をﾋｭﾝとかわし、目線を惹きつける。

まぁ、こんなものだろう。
地面を蹴って飛び、船に着地する。

船は一気に加速し、陸を目指した。