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第九話 ページ9

『あぁ〜…沁みる…』

「やはり風呂はいいもんじゃのう…」

今私たちは、風呂に入りながら河童に聞き込みをしているところだ。聞き込みのおかげでかなり情報が集まってきた。

ゲゲ郎と岩子を探しているときは余裕がなかったため、風呂に入るのは久しぶりだ。

ゲゲ郎と再会できて少し余裕ができたせいか、久しぶりの風呂のせいか、どうにも気が緩んでしまう。
…あれ、人影が見えるな…



「ったく、ゲゲ郎、お前なんで風呂になんか入ってるんだよ…」

そんな声と共に現れたのは水木さんだった。
私たちを探していたらしく、少し息が荒い。
随分とお人好しな人間だ。


そのとき、霧が晴れてきて少し奥にいた私とばちっと目が合う。その途端、固まってしまい、ブワッと顔を赤らめる水木さん。

……少しからかってみようか。


『…助平。』

「っ…!わっ、悪い、Aさんもいたんだな…」

『あっははは!ジョーダンだよ。助平なんて思ってないから大丈夫。』

もう何百年と生きてきて、今更恥じらいはない。
岩子とゲゲ郎と一緒に混浴に入ったことだってあるし、なんならそのとき私とゲゲ郎は指でつくった水鉄砲対決をしていた。

「なんじゃおぬし、照れておるのか?生娘のような反応をしおって。」

「俺は生娘じゃねぇ!!!!!」

そんな2人のやりとりに思わず笑みが溢れてしまう。


「というかお前ら、どうやって牢屋から抜け出したんだ?朝起きたら、俺が牢屋に入っているし…」

『あれくらい簡単だよ。それに水木さんが私たちのこと騙すからじゃん。』

「あのなぁ、俺はこれからお前らを出してもらうよう頼みに行くところだったんだぞ?
とにかく、ここにいたらまずい。ちょっと行ってくるから、ここで待っててくれ。」

『はいはい。』

「承知。」

「どこにも行くんじゃないぞ!」

「はよう行け。」


そうして、嵐のように水木さんは去って行った。

「とんだ邪魔が入りましたな。申し訳ない。」

「ゲゲッ」

世話になった河童に挨拶をする。
待っていろと言われたが、こんなところで道草を食っている場合ではない。

『さーて、中々情報も集まったし、行ってみますか!あの孤島へ。』

「そうじゃな。」


そんなこんなで私たちは、あの孤島へと足を進めるのだった。

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作者名:ハル | 作成日時:2023年12月29日 22時

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