第八話 ページ8
シュル…ガチャン!
草木も眠る丑三つ時、ゲゲ郎が組み紐を使って牢屋のカギを開ける。
『いやー…まんまと騙されたねぇ…』
「これだから人間は嫌いじゃ。
軽い気持ちで嘘を吐き、わしらを騙す。」
でもまぁ、そのことについては私も少し同情する。
この人間はあまり好きになれなさそうだ。
『話を聞くところ、この人は龍賀一族と関わりがあるみたいだし、今回は私達2人で行動しよっか。』
「そうじゃな。
人間が寝静まっている夜のうちにこの辺りの妖怪に話を聞きたい。」
『よーし、じゃあぼちぼち聞き込み始めますかぁ〜』
「その前に、この人間…どうしてくれようかのう…」
ゲゲ郎は水木さんに何かしようとしたのか、
ゆらりと近づく。
『はいはいゲゲ郎、ストーップ。
もう人間も物も傷つけないって岩子と約束したでしょ?』
「それはそうじゃが…」
『だから…イタズラ程度にしておかない?
妖怪らしく、さ。』
この人に少しムカついたのは私も同じ。
ちょっと脅かすくらいなら良いだろう。
「ならば牢屋にでも入れておこう。
カギは開けておいてやる。
わし、優しいからの!!!」
『うんうん、ゲゲ郎やっさしー!!』
そんな茶番を繰り広げながら、私たちは牢屋を抜け出したのであった。
屋敷を通り抜け、外に出る。
やっぱり夜は好きだ。夜風が気持ちいい。
『…ねぇゲゲ郎。
私的には、この村に来るときに見たあの孤島が怪しいと思うんだけど、どう思う?』
「うむ。わしも同じことを考えておった。
聞き込みをして情報を集めてから行ってみようではないか。」
『りょーかい。』
ーーーーーーーーーーー私たちはまだ知らない。
水木という人間がどんな人なのか。
この村で何が起こっているのか。
あの孤島が抱えている秘密が、いったいどれだけ莫大なものなのか…
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作者名:ハル | 作成日時:2023年12月29日 22時