3 出会いと乞食 ページ3
「カルエゴさん邪魔ー」
あとからソファーに座ってきたくせに、俺の膝の上に足を思いきりのせて雑誌を読むこいつの名前はA。俺もお前が邪魔だ。しかし絶対に退いてやらん。
このように我が物顔で俺の家でくつろぐこいつを拾ったのは、休日の昼下がりだった。
＊
買い物へ出掛けようと玄関を出ると、目の前に子供が倒れていた。
俺は思わず扉を閉めた。
あれは助けるべきなのか。家の軒先で勝手に伸びているヤツがまともであるはずがない。しかし放置すれば近所にどんな噂が流れるか。
「おい」
俺は仕方なく、本当に仕方なく声をかけたが、そいつはぴくりとも反応しない。
まさか死んでるのか？
息を確かめようとその少年に近づくと、ぶわりと全身の毛が逆立つのを感じた。なんだ、こいつのにおいは……？
嗅いだことのない異様な体臭に、頭がクラクラする。
本能を刺激するかのような、原始的なにおい。無意識のうちに唾液が溢れ出てくる。
俺は考えるよりも先に、急いで子供の周りに防衛魔術をかけた。
そうすることで幾分かにおいはマシになる。
……いやありえない。まさか。
俺は早合点しそうになる思考を落ち着けるために、ひとつ深呼吸をする。
ここは魔界だ。だからこんなところに転がっているはずがない。
俺だって、存在の有無くらいは知っている。
巷では空想生物と称されているが、今なお繁栄しているといわれている――人間。
これは俺の手には負えない案件だ。早急に魔関署に通報を――
「※※※※※※？！」
「は？」
いきなり大声を出して、俺の腕を掴んできた。
いやそれよりも、なんと言った？まさか言語が違うのか？
「※※※※！……※※※※……」
必死に何かを伝える姿は、どうしてもうちの学校の生徒を思い起こさせる。
段々と涙目になっていくので、一応教師としては話だけでも聞いてあげるべきかと、少年に翻訳魔術をかけて話せるようにしてやる。
「これで、わかるか」
「！あ、あ、僕、お腹すいて……なにか恵んでくれませんか……」
死にそうな顔をしてなにを言うのかと思えば、まさかの乞食。
俺は心底げんなりした。
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奏(プロフ) - 本編もおまけもとっても面白かったです〜！友達以上恋人未満の関係の設定がめっちゃ良かったです！作品制作お疲れ様でした！作者様の他作品も見させていただきます〜！ (2023年2月25日 8時) (
レス) @page37 id: 89231dfe0c (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ガスカさん» コメントありがとうございます！応援のお言葉本当に嬉しいです。とても励みになります！ (2022年12月18日 20時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ガスカ - 続き楽しみにしています。頑張ってください!応援してます (2022年12月18日 18時) (レス) id: 59f6634a23 (このIDを非表示/違反報告)
南条(プロフ) - ルーミアさん» コメントありがとうございます！主人公の過去については、ゆっくり紐解いていきますので、気長にお楽しみいただければと思います！ (2022年12月5日 19時) (レス) @page16 id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
ルーミア - 昔に何があったのでしょうか気になりますね！次の更新頑張ってください！楽しみにしています (2022年12月5日 14時) (レス) @page15 id: 1c035b5819 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2022年11月18日 8時
