学秀くんの許嫁がE組にやって来ました Part14 (ページ7)

今日:4 hit、昨日:14 hit、合計:25,712 hit

580.業side ページ7

「もしかして、…泳げないの？」

俺がそう言った言葉にAは、

詰まったような表情をしたあと静かに頷いた。

ふはっと思わず笑いが出る。

するとAはガバッと顔を上げて、

涙目で俺をキッと睨んできた。

…何それ、可愛い。

Aにも苦手なことってあるんだ…。

完璧超人だと思ってたんだけど、と安心する。

そのまま口に出すときっとまた拗ねるから。

「じゃあおいで。受け止めるから」

ふわっと両手を広げて待てば、

あわあわとしばらく戸惑うA。

…ていうかもうみんな遊んでるんですけど？

時間は有限なんですけど。

初めて見るAのスク水姿を俺は

そんな高台にいるのを眺めなきゃいけないの？

アイドルかなんかなの？

「はやく～」

『…絶対に落とさないでよ』

意を決したように両手を握りしめるA。

可愛いな、けど。

深めだけれども足のつくこんなプールで

仮に抱きとめられなかったとしても、

溺れることはまずあり得ないから心配しなくていいのに。

泳げない子にとってはそういう問題じゃないのか。

近くにふよふよと漂っていた浮き輪をこちらに寄せ

「これA用ね。準備万端。おいで」

ともう一度腕を広げる。