学秀くんの許嫁がE組にやって来ました Part14 (ページ40)

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613.業side ページ40

「……」

シーン、と浅野くんは黙ってしまった。

なかなか口を開かない浅野くんに

痺れを切らし、俺は再度問いかける。

「聞いてる？」

浅野くんは顔を顰めると、

「目の前の部屋だ」

とだけ言って、また俺に背を向けた。

「そ。ありがと」

俺はそれが気に入らず、

浅野くんの机に近付く。

のぞき込むとそこには数学のテキスト。

そういえばもうすぐ期末考査だっけ。

…あーあ、必死に勉強しちゃって。

「まだ何か用か」

浅野くんはちらりとこちらに紫の目を向けた。

Aに少し似ているその色合いが気に入らない。

俺は下から浅野くんを覗き込むように見ると、

「浅野くんさ、Aにもうなんもしてないよね？」

と低い声で問いかける。

ぴく、と浅野くんの顔が少し引き攣った。

「…ああ」

「そ。Aは俺の彼女だから。

もう余計なことしないでね」

俺は笑みを深くして、浅野の机から離れた。

ぎゅ、と浅野くんが拳を握り締めるのが

視界の端にちらりとうつる。

「っ…、Aは僕の______！」

浅野くんは勢い良く振り向いて、

そう言いかけると口を噤んだ。

そうそうそれでいいの。

Aはもう、あんたの許嫁なんかじゃない。

俺の彼女なんだから。