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「あんたらのハンデが少なくなった」
イトナくんはカルマの言葉に反応せず、
ただひたすらにこちらを見つめる。
え、なに?誰を見てるの??
「……」
イトナくんが少し口を動かした。何か言ってる?
と思ったけど、すぐに口を閉じてしまう。
カルマは何故かあたしの髪を解くと、
髪をスルリと撫でてそのまま毛先に口付けた。
…え、何してんの?恥ずかしいんだけど。
ていうか髪びしょびしょでしょ。
汚いと思うよ…。
あたしの髪にキスをしているくせに、
視線は一向にこちらに寄越さない。
それどころかずっとイトナくんと見つめ合っている。
「…で?どーすんの…?
俺らも賞金持ってかれんの嫌だし、
そもそもみんな、特にAなんか
あんたの作戦で死にかけてるし…。
ついでに寺坂もボコられてるし…。
…まだ続けるなら、こっちも
全力で水遊びさせてもらうけど?」
その言葉を合図にみんながバケツやら袋やらを構える。
え‥?何その結束感。あたしおいてかれてる…?
気失ってる間に何があったの…?
シロははあ、とため息をつくと、
「してやられたな」
と未だこちらを見ているイトナくんに話しかけた。
「ここは引こう」
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作者名:神川夏海 | 作成日時:2021年2月28日 22時