599.業side ページ26
「寺坂のやつ、昨日と同じシャツのままなんだ。
てことは、変なスプレーの成分を至近距離で
たっぷり浴びたシャツだってことだ。
イトナだって、ただで済むはずがない…」
さっきからくしゃみを繰り返すイトナの触手は、
ドロドロと粘液が出始めていた。
「で、イトナに一瞬でも隙を作れば、
原さんはタコが勝手に助けてくれる」
ふとAの方を見れば、
どうやらもう目を覚ましたようだった。
…ホントに、心配ばっかかけて。
ひょいひょいっと指で合図を送れば、
みんなは一斉に飛び込む用意を始める。
その間に俺は、Aのところまで降りた。
『カルマ、』
何もわかっていないAを安心させるように、
とりあえず頭を撫でる。
「吉田!村松!!でけーの頼むぜ!!」
そう寺坂が水面を叩くと、
二人は苦笑しながら思い切り飛び降りた。
「殺せんせーと弱点一緒なんだよね?
じゃあ、同じことやり返せばいいわけだ」
ひょいっと指で合図を送ると、皆が一斉に崖上から飛び降りる。
あえて思い切り水飛沫をたてる着水をしたことで、
イトナの触手に思い切り水がかかる。
ばしゃばしゃと戯れるように水をかけられ、
イトナの触手はブクブクに膨らんでいた。
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作者名:神川夏海 | 作成日時:2021年2月28日 22時