598.業side ページ25
「すっこんでろふくれタコ!!」
寺坂が殺せんせーの制止を振り切ると、
シロが面白そうに笑った。
「はは、健気だねぇ…。
黙らせろ、イトナ」
イトナはちらりと奥のAを見たあとに、
寺坂をじっと見つめた。
「…カルマくん!!」
と渚くんから非難の声が飛んでくる。
「いいんだよ。
あのシロは、俺達生徒を殺すのが目的じゃない。
それに…、寺坂の隣にはAがいる。
もし渚くんの言うとおり、イトナがAの方を
気にして戦っているんだとしたら。
寺坂が全力の触手を受けることはない…。
そんなことしたらAまで巻き込んでしまうからね。
だから寺坂にも言っといたよ。
気絶する程度の触手はくらうけど…」
バシィッと寺坂の腹に触手が直撃する。
うわぁ、痛そ…。
「逆に言えば、スピードもパワーもその程度…。
死ぬ気でくらいつけって」
ぜえぜえと肩で息をする寺坂は、なんとか
意識を保っているようだった。
「よく耐えたねぇ…。
イトナ、もう一発あげなさい」
イトナが回収した触手には、
敢えて引っ掛けた寺坂のシャツ。
イトナはそのシャツを不思議そうに見たあと、
思い切りくしゃみをした。
「え、」
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作者名:神川夏海 | 作成日時:2021年2月28日 22時