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『あ…、ありがと』
学秀はそれだけ渡すと、さっさと帰ってしまった。
もう面会終了時間だからな…。
次の日の昼前。
検査が終わり、いったん昼休憩ということで昼食を摂っていたところに
カルマがまた袋を下げてやってきた。
…学校は?とは言わない。
なぜならめちゃくちゃにお怒りになっているのが目でわかるからだ。
『あ、来てくれたんだ。ありがとう』
「うん」
カルマは小さく返事をすると、袋をあたしに差し出す。
『これは?』
「お見舞いだけど」
『今日退院なのにわざわざ?ありがと』
袋を覗くとそこには可愛らしいスイーツたち。
コンビニで済ましたであろう学秀とは雲泥の差だ。
「で?」
『うん?』
「で。なんで無茶したの?」
『え、』
いやいや、こいつは全部聞いたんじゃなかったのか。
あれは無茶とは言わない。不可抗力というものだ。
「全部聞いたんだけどさ、もう無茶しないって約束だったよね?」
いやあれは無茶っていわねえだろうが。
『いやあれは無茶って言わねぇよ!!!』
そう思ってそのまま口に出す。
「はあ?」
『不可抗力でしょうよ』
「鷹岡に殴られたんでしょ?」
『気失ってると思って手当てしてたのにだよ』
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作者名:神川夏海 | 作成日時:2021年2月28日 22時