34. はさみとわたし ページ35
『ああ、よかった。じゃあそれを貸し………』
戻ってきたランピーを笑顔で見上げた。
…と、ほぼ同時に、その笑顔が凍りつく。
コイツ…はさみを構えてやがるっ……!!?
ランピーの左手に握られたはさみは逆手持ちで持たれていて、明らかにこれから貴方を殺しますよーとという構えだ。
そのキラリと光る鋭利な刃先は、明らかに私に向けられている。
しかも厄介なことにランピーは、その持ち方に対して特に疑問を持っていないようだ。
無駄に高い身長もあって私ではあまりまじまじと見る事は出来ないけど、表情はだらーんとしたままである。
でも、どうにかしてコイツに持ち方を理解してもらわないと、私が死ぬ!
一歩…また一歩と後ろに下がり、間を取る。
『ラ、ランピー、取り敢えず、それを置こうか。』
テーブルを挟んで対峙する形でそう言った。
ここなら安全だ。手の長いランピーでも届かないぐらい幅の広いテーブル。
それでも気は抜かずに、ランピーの左手を凝視し続ける。
ラン「え?それって何?」
こいつ、アホか…。
何を言っているのか理解できない様子で、首を傾げるランピー。
確信犯的にやってるとしか思えないわボケ(涙目)
『はさみだよ!はさみ!』
「ああ、はいコレね。」
そう言われてようやく手に逆手に持っている、どう見ても凶器にしか見えないそれを理解したのか、
テーブルの上にちょこんと置いた。
それを見計らってじりじりと詰め寄り、はさみを奪い取る。
よっしゃ勝ち確。
『いてて…よいしょっと』
チョキン、チョキンと包帯を切り、もう一度自由の利く方の片腕で包帯を巻きなおしていく。
我ながら器用なもんで、綺麗に巻きなおせたように思う。
勿論、この間ランピーとの間を縮めてなどいない。
ランピーが手を差し伸べようとして宙をかすった右手がなんだか虚しい気がするけど気にしない。
ラン「大丈夫?ごめんね、俺のせいでさ、痛い目合わせちゃって。」
『大丈夫ではないけれど、そのうちほっとけば治ると思うからいいっすよ、気にしなくて。』
建前:気にしなくていい、本音:気にしてくれ
まあ、悪気が無いのと持ち合わせの天然物の鈍感さが原因なのだから、どうすることもできないんだけれど。
気にされたらされたらでなんかこっちが悪くなっちゃう気がするから、別にしなくていいんだけれど(どっちだ)
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はちみつトースト - グリーンさん、コメントありがとうございます!亀更新ですが頑張りますのでまた見に来ていただけると嬉しいです(`・ω・´) (2017年10月14日 22時) (レス) id: b1e5a6ad78 (このIDを非表示/違反報告)
グリーン - この小説のおかげでラッセルまで好きになってきた… これからも頑張って下さい! (2015年10月3日 15時) (レス) id: e92b5bae15 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつトースト - ヒスイ餅(`・ω・′)さんコメントありがとうございますm(_ _)mうちのラッセルは冷静で面倒見のいいおかんツッコミ役常識人ですw気に入っていただけて嬉しいです!頑張ります(´∀`) (2014年10月11日 22時) (レス) id: 6ba940a157 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつトースト - 琥太郎さんコメントありがとうございますm(_ _)m少しだけ更新しました! (2014年10月11日 22時) (レス) id: 6ba940a157 (このIDを非表示/違反報告)
ヒスイ餅(`・ω・′)(プロフ) - ラッセルに目覚めてしまったwww更新楽しみにしてます! (2014年8月30日 22時) (レス) id: 1e23533ca5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちみつトースト | 作成日時:2012年1月2日 22時